クレーン設置届に必要な書類・資料

つり上げ荷重3t以上のクレーンを設置する場合は、事業者は設置届を労働基準監督署に提出する必要があります.

今回は、実際に提出したクレーン設置届を参考に、設置届を作成する際の必要な資料とその留意点を確認していきます。
クレーンの設置届・落成検査に関する記事は複数回に分けて掲載していますので、記事下部にある関連記事なども参考にしてください。

クレーン設置届の提出

クレーン設置届とは、つり上げ荷重が3トン以上(スタッカー式クレーンの場合は1トン以上)のクレーンを設置するときに労働基準監督署に提出する書類のことです。
また、設置届が必要なクレーンは落成検査を受けることがセットとなります。

クレーン設置届の提出や落成検査に関する法令は以下の記事にまとめてます。あわせてご覧ください。

クレーン設置届に必要な資料

クレーン設置届で提出すべき資料も関係法令のクレーン等安全規則にまとめられています。

(設置届)
第五条 事業者は、クレーンを設置しようとするときは、労働安全衛生法(以下「法」という。)第八十八条第一項の規定により、クレーン設置届(様式第二号)にクレーン明細書(様式第三号)、クレーンの組立図、別表の上欄に掲げるクレーンの種類に応じてそれぞれ同表の下欄に掲げる構造部分の強度計算書及び次の事項を記載した書面を添えて、その事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)に提出しなければならない。
 一 据え付ける箇所の周囲の状況
 二 基礎の概要
 三 走行クレーンにあつては、走行する範囲

出典元:クレーン等安全規則

まず、上記のクレーン等安全規則第五条で規定されている資料は必ず必要になります。
別表に掲げるは、クレーン等安全規則の別表を指しています。建設現場で設置届が必要なクレーンとして代表的なポスト型ジブクレーン(タワークレーン)は、構造部分としてジブおよびポストがあげられています。
つまり、タワークレーンの場合、設置届に必要な資料は、以下になります。

  • クレーン設置届(様式第二号)
  • クレーン明細書(様式第三号)
  • クレーン組立図
  • ジブおよびポストの強度計算書
  • 据え付ける箇所の周囲の状況
  • 基礎の概要

今回は固定式のタワークレーなので、走行する範囲ついては省略しました。ただ、この条文だけでは具体的にどのようなものを作成すればよいのかいまいちピンと来ない資料も多いのではないでしょうか。
また、これら以外にも補足資料として、設置届で提出する資料はいくつかあります。

クレーン設置届

設置届自体はクレーン専門会社が作成することがほとんどです。
元請けとしては不足する工事工程表や総合仮設計画図といった資料・データを渡すくらいで、私も実際に経験するまでは具体的にどのような書類が添付されているか知りませんでした。

私が実際に提出した資料をもとに必要な書類とその概要を紹介していきまので、設置届の作成、提出の際の参考としてください。

1.クレーン設置届(様式第二号)

クレーン設置届(様式第二号)は、クレーン等安全規則で様式がすでに定められていますので、諸官庁HPなどからダウンロードすることができます。
クレーンを設置する事業所やクレーンの機種、設置日などを記載する書類です。具体的な記載内容は以下となります。

2.クレーン明細書(様式第三号)

クレーン明細書とは、設置するクレーンの設置場所、構造、定格荷重などを示した概要の明細書になります。
クレーンの重要ポイントの概要をひとまとめにした書類で、クレーン明細書も厚生労働省などのHPなどからダウンロードすることが可能です。

なお、クレーン設置届も同様ですが、クレーン等安全規則で定められている必要様式は、順に番号が振られており、クレーン明細書は「様式三号」などと呼ばれることもあります。

3.クレーン稼働履歴書

クレーン稼働履歴書はクレーン等安全規則で規定されていなかった資料ですが、当該クレーンが過去にどの現場で設置され、何日間稼働したかを一覧にしたものです。
どの程度繰り返し利用されているのかなどを示す資料になります。

また、繰り返し利用している場合は、設置届提出の際に、整備の方法を聞かれたりしますので、回答を準備しておきましょう。

4.クレーン製造許可書

クレーンを製造する際は、クレーン製造メーカーがクレーン製造許可を労働基準監督署に申請し、許可を受ける必要があります。
設置届を提出するクレーンもそもそも製造許可を受けていることが前提ですので、クレーン製造当時のクレーン製造許可書の写しを添付します。

また、クレーン設置届にもクレーン製造許可年月日および番号という項目もありますので、相違がないことを確認しておきましょう。

5.安全装置合格証

安全装置合格証もクレーン製造許可書と同じように事前に合格を受けていることを証明する合格証の写しになります。

クレーンの過負荷を防止するための安全装置が正常に作用するかを正常に作動するかなどを製造メーカーが日本クレーン協会といった登録型式検定機関に申請・試験をしています。
安全装置合格証は有効期限が3年間となります。今回設置するクレーンが有効期間内であることは必ず確認しておきましょう。

6.工程表

工程表は、元請が作成した全体工程表を添付します。
全体工程表の中に該当するクレーンの設置開始の時期と設置期間が判断できる工程が記載されているか確認しておきましょう。

7.現場案内図

現場案内図は工事が始まったらすでに作成しているかと思います。
現場までの案内、現場周辺状況が分かるような資料を添付します。

8.クレーン全体図

クレーン全体図はクレーンの姿図(高さ・作業半径)と性能表が記載された図面になります。

9.クレーン部材詳細図

クレーン部材詳細図が設置届のなかで一番枚数を占める資料になります。
クレーンを構成する各部材の単品図となります。落成検査のなかで構造の検査がありますが、部材の寸法・断面寸法も構造にかかわる重要な確認項目ですので、一つ一つの大きさがわかる資料を用意しておきます。

すべて掲載すると多くなりますので、実際に提出したものの一部を紹介します。組立するクレーンに必要な図面をそろえるようにしましょう。

  • 各部の組立図(旋回体、ジブ、ポスト、ポストステイ、踊り場など)
  • 各装置組立図(巻上げ装置、旋回装置、起伏装置など)
  • 各種制御装置組立図(起伏制御、旋回制御)
  • ワイヤー組立図(メインワイヤ組立図、ワイヤーローピング、滑車製作図)
  • 各種モーター類構造図

10.使用材料証明書

いわゆる、ミルシートになりす。
クレーンの構造部材であるポスト、ジブなどは製造時に検査を受けているかと思いますが、設置届の際に必要なミルシートは、高力ボルトやワイヤーロープといった都度新品を使用するような部材のミルシートになります。

ただ、設置届提出の時にまだミルシートはそろっていないかと思います。したがって、実際は使用材料証明書は未添付にして、「落成検査の時に持参します。」という形になることがほとんどです。

11.クレーン強度検討書

クレーンは作業時の反力、風荷重、地震荷重などの外力が作用します。
これらの外力に対して、クレーン自体(ジブ・ポスト・本体架台)の強度検討を行う必要があります。

タワークレーンは自立高さ30m(控えを取ればどんどん高さあげられます)などとなりますので、旋回体高さでは結構な風荷重が作用することになります。

設置届で必要だからという理由ではなく、クレーンの安定性については十分に理解しておきましょう。
また、検討書でOKとなるかを確認するだけでなく、計算上の耐風速も理解して、台風などの時に適切な対策がとれるように準備しておきましょう。

12.クレーン計画図(平面・立面)

クレーン計画図は総合仮設計画図のように設置する位置と周囲の状況がわかる平面図および立面図を添付します。

作業所で作成する総合仮設計画図を少しアレンジたものになります。
クレーンの機種名や作業半径ごと定格荷重、旋回軌跡などが必要な情報になりますので、総合仮設計画図から不要な情報を消し、必要な情報を加味していきます。

13.クレーン基礎計画図

タワークレーンの場合、本体基礎架台呼ばれる主に、十字型の基礎架台の上にポストが立っています。
しかし、ここでいう基礎とは、基礎架台よりさらに下部の地面や建物などクレーンを固定する基礎になります。

タワークレーンの基礎はタワークレーン用の仮設杭を打設したり、基礎梁などにアンカーボルトを設置してタワークレーン荷重を建物本体で支持したり、S造の建物やフロアクライミングする場合は、各階の梁に荷重を支持させたりとさまざまな形状を取ります。

クレーン基礎計画図もクレーンを支持する杭や梁の寸法や鋼種、支持方法がわかる図面を用意しましょう。

14.クレーン基礎強度検討書

クレーンを支持する基礎が計画できたら、強度計算書も必要になります。
11.クレーン強度計算書でクレーン基礎架台からの反力は算定されているかと思いますので、その反力を基に基礎(仮設杭や本設梁など)の強度検討をしましょう。

また、クレーン基礎として、本体建物に支持させる場合は事前に構造設計者に質疑の提出、構造計算書の確認を依頼するようにしましょう。

まとめ

設置届に必要な資料一式を実際に提出した資料を基に解説していきました。
労働基準監督書への提出は、事業者(元請け)が行うことになります。クレーン工事協力会社が作成した設置届もどういったものが添付されているのか、法律で決められている資料が添付されているのかは現場監督がしっかりと把握できるようにしておきましょう。

私もクレーン設置届を初めて提出した際は、何の資料を提出するべきなのか、協力会社が作成した資料がどういったものなのかを全く把握できませんでした。

作ってくれたからいいやではなく、概要だけでもつかみ、適切な現場運営いたしましょう。

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