次世代足場の壁つなぎの間隔は何m以下?計算方法は枠組足場と同じでいいのか?

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次世代足場(くさび緊結式足場)の使用が一般的になってきていますね。

建地材が一つ一つ分かれていることから省スペースで運搬効率も良いですし、高さも1.8mが基準とされることから枠組足場より利便性が高いです。

ただし、安衛則など関連法を確認するとと「枠組足場」と「それ以外の足場」という規定が記載されており、くさび式足場に該当する次世代足場は、枠組足場の規定を適用できない場面がまだまだ多くあります。

今回は、次世代足場(くさび緊結式足場)の風荷重に対する足場の強度計算から見る壁つなぎ間隔について解説していきます。

目次

枠組足場と次世代足場の壁つなぎ強度計算

まずは、足場自体の壁つなぎの強度計算について確認していきます。

壁つなぎの役割は、足場自重よる足場の揺れを防止するために必要な壁つなぎ間隔と台風時などの風荷重に対する足場の損傷・倒壊を防ぐためです。

そのため設置場所などを考慮して、壁つなぎ強度検討を行う必要があります。
一般的には、風荷重に対する計算における必要壁つなぎ間隔の方が狭くなりますが、屋内の足場などではどちらも確認することが重要です。

足場に作用する風荷重の計算

外部足場に作用する風荷重の計算は、仮設工業会が出版している『改訂 風荷重に対する足場の安全技術指針』等の基準に従って計算するのが一般的です。
また、もちろんのことではありますが、使用する足場材も仮設工業会の認定品であることである前提です。

また、壁つなぎの計算のための風荷重の算定ですが、仮設である足場の計算といっても建物外壁や屋根材などの本設に用いる風荷重の計算方法と変わりはありません。

違いがあるとすれば、本設の計算は計算でも用いるパラメータの一つである再現期間を50年や100年といった長期間を適用するのに対し、仮設材で取り外しが可能な足場では再現期間を1年として計算していきます。

もちろん、足場設置条件によってはこの一年という再現期間では不十分な場合もあるでしょうから、計算方法は現地に合わせる必要があります。
また、再現期間1年ということですので、台風が直撃するような場合は、足場の垂直養生材を取り外したり、壁つなぎを補強したりと都度対策が必要であることは言うまでもありません。

枠組足場の計算を適用できるか

作用する風荷重自体は枠組足場と次世代足場に違いはない。

先ほどお伝えした通り、作用する風荷重は、本設とも同じ計算方法を使用するので、枠組み足場でも次世代足場(くさび緊結式足場)でも変わりません。

風荷重の計算に重要な鋼製部材となるのは、メッシュシートなどの垂直養生材と最終的に負担する壁つなぎ部材です。
これらの部材も枠組足場でも次世代足場でも同様のものを使用します。

では、足場に作用する風荷重を算定で枠組足場と次世代足場の違いによる差はどこにあるでしょうか。

風荷重を受ける物体の形状によって、作用風圧力が多少変化します。
風荷重は同じでも受ける物体の断面によって、巻き込みの風などミクロ的に考慮すると違いが生じます。

足場の場合、建枠一枠を断面的に見れば、まずネットに風荷重が作用し、次に外側の建地、最後に内側の建地に荷重が作用します。
この断面的にどの部材がどの程度風荷重を負担するかを考慮した枠組足場の風力係数は以下の式で計算されます。

今回は算定式の説明は行いませんが、( )内の計算式が、足場建枠の内側建地、足場建枠の外側建地、垂直養生材が負担する風荷重の割合を示しています。

垂直養生の種類(充実率)によってCo変化するため一概には言えませんが、この構成式から垂直養生材が9割近い負担をしていることがわかります。

したがって、残りの建枠に作用する計算ですが、ここに枠組足場と次世代足場(くさび緊結式足場)の差が生じます。
建枠の係数に関しては、受風面積によって係数が決まってくると考えますが、枠組足場の直径がφ42.7に対し、次世代足場の直径はφ48.6(単管パイプと同じ)です。

この直径の差がどこまで影響するかを考慮するかどうかで計算方法は変わってきます。
ただ、これらの係数の算定は実物実験などしないと測定は困難です。また、ほぼ垂直養生材で決まる係数に対して、直径の差が計算に大きな影響を与えることはほぼありません。

したがって、枠組足場の風荷重に対する強度算定方法をそのまま次世代足場に適用してもよいとみることができます。

もちろん、法規則や文献に明記されているものではなく、実務上問題なしと判定できるということです。

安衛則からみる壁つなぎ間隔

一方で、強度計算以外のメーカー組立基準や法規制などから壁つなぎ間隔を決定するときは注意が必要です。

労働安全衛生法・労働安全衛生規則では、壁つなぎの最大間隔が決められていますが、以下のように規定されています。

  • 枠組足場:水平方向8m以下、垂直方向9m以下
  • 枠組足場以外:水平方向5.5m以下、垂直方向5m以下

規定が枠組かそれ以外かという規定です。次世代足場は、枠組足場以外に該当します。

そこで、屋内足場など風荷重の強度検討を考慮しない足場計画の場合は注意が必要です。

もちろん、次世代足場として、従来の単管足場やくさび式足場より耐荷重など優れているのですが、法規制の文言がこのように記載しているので、ここは遵守するしかありません。

おわりに

次世代足場(くさび緊結式足場)の壁つなぎ規定に関する紹介でした。

くさび緊結式足場には、次世代足場と別に従来のくさび緊結式足場(ビケ足場)も存在しており、法改正も慎重になっているのではないかと推察されます。

次世代足場に関する議論は何度も議題に上がっているようですので、これからも新たな規制や緩和措置などが出るかもしれませんね。

次世代足場は壁つなぎの強度計算方法自体は枠組足場と同様の計算方法で構いませんが、その他の規制・組立基準などはメーカー組立標準なども合わせて確認して適切な施工をしていきましょう。

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