設置届が必要なクレーンと関係法令の確認

クレーン設置届と落成検査に必要性

建設工事において、監督署への工事計画などを事前に届け出が必要な工事があります。
建設工事計画届や機械等設置届が代表的なものです。

今回は、機械等設置届の一つである「つり上げ荷重3t以上のクレーンの設置」に必要な設置届と落成検査について関連する労働安全衛生法やクレーン等安全規則を引用しながら、法律で規定されている内容についてを確認していきます。

設置届や落成検査などは提出する書類や提出のタイミングも規定されおり、提出することを知らなかったという理由は通用しません。
クレーン設置工事を開始する前に何が必要なのか、また、それはどこに書かれているのかを深堀していきましょう。

設置届が必要なクレーン

冒頭でも記載していますが、つり上げ荷重が3t以上のクレーン等を設置する場合、労働安全衛生法、労働安全衛生規則、クレーン等安全規則により、労働基準監督署へ機械等設置届の届け出が必要になります。

実際に該当する条文を引用しますので、どこにその規定が記載されているか確認していきましょう。

まず、クレーンに関する規定は、クレーン等安全規則にて規定されています。

(製造許可)
第三条 クレーン(令第十二条第一項第三号のクレーンに限る。以下本条から第十条まで、第十六条及び第十七条並びにこの章第四節及び第五節において同じ。)を製造しようとする者は、

出典元:クレーン等安全規則

クレーン等安全規則第三条は、製造許可に関するものですので、設置する事業者としては直接かかわりはありません。
製造に関する条文なので、文章の通りクレーンを製造するメーカーが該当します。

ここで確認する必要があるのは、「クレーン(令第十二条第一項第三号のクレーンに限る。以下本条から第十条まで、~)」の条文です。

ここでは、クレーンという言葉の定義として、令十二条第一項第三号に記載しているクレーンのことだと述べています。
ここでいう、令とは、「労働安全衛生法施行令」のことを指しています。

労働安全衛生法施行令の第十二条 第一項 第三号は以下のようになります。

(特定機械等)
第十二条 法第三十七条第一項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。
三 つり上げ荷重が三トン以上(スタツカー式クレーンにあつては、一トン以上)のクレーン

出典元:労働安全衛生法施行令

つまり、クレーン等安全規則でいうクレーンとは、つり上げ荷重が3トン以上のものを言っていることになります。

ここで、一つ注意が必要なのはつり上げ荷重3トンというのは、クレーンの性能のことになります。
工事現場で実際に揚重する資材の重量によるのでは、クレーン自体が3トン以上の定格荷重を該当しますので注意が必要です。

クレーン等安全規則でのクレーンの言葉の定義が確認できてたので、次に設置届の必要を条文から確認していきましょう。
先ほどクレーン等安全規則第三条のクレーンの定義の(  )内に、「以下本条から第十条まで、(中略)同じ」という条文がありました。
設置届の提出は、クレーン等安全規則の第五条に記載されています。したがって、設置届が必要なクレーンもつり上げ荷重が3トン以上が該当するということになります。

(設置届)
第五条 事業者は、クレーンを設置しようとするときは、労働安全衛生法(以下「法」という。)第八十八条第一項の規定により、クレーン設置届(様式第二号)にクレーン明細書(様式第三号)、クレーンの組立図、別表の上欄に掲げるクレーンの種類に応じてそれぞれ同表の下欄に掲げる構造部分の強度計算書及び次の事項を記載した書面を添えて、その事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)に提出しなければならない。

出典元:クレーン等安全規則

なお、建築現場において代表的なクレーンとしては、道路を自走できるラフタークレーン、現場で組立しクローラーで移動が可能なクローラークレーン、現場で組立てし台座が固定されるタワークレーンがあります。この中で、設置届が必要なのはタワークレーンになります。
ラフタークレーンやクローラークレーンは移動式クレーンに該当し、設置届の提出などは適用外となります。

移動式クレーンが適用外となる条文は、クレーン等安全規則の第二条にあります。

第二条 この省令は、次の各号に掲げるクレーン、移動式クレーン、デリック、エレベーター、建設用リフト又は簡易リフトについては、適用しない。

出典元:クレーン等安全規則

この条文で移動式クレーンは適用外となっています。
ラフタークレーンもクローラークレーンも移動式クレーンに該当しますので、クレーン等安全規則自体が適用外となります。

それでは、クレーン等安全規則の第五条に話を戻していきます。
条文の中にある労働安全衛生法第88条の規定を確認してみましょう。

(計画の届出等)
第八十八条 事業者は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の三十日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。

出典元:労働安全衛生法 第88条

労働安全衛生法では、設置届の提出のタイミングが記載されています。

当該工事の開始の日の30日前となっています。
クレーンの組立てには3日~5日程度要しますが、組立開始から数えて30日前である必要があります。

機械等設置届の中で、建設現場で提出することが多いのは、外部足場や型枠支保工です。
これらの工事は、しっかりと計画を立て、設置届を提出、そして組立工事となります。一方、クレーン設置の場合は設置届を提出しただけではクレーンは使用できません。

落成検査の実施

クレーン組立後、さらに落成検査というものを受ける必要がありあます。
それでは、次に落成検査とはどういうものか。また、落成検査の必要性はどの条文に記載されているかを見ていきましょう。

落成検査に関する規定はクレーン等安全規則で規定されています。

(落成検査)
第六条 クレーンを設置した者は、法第三十八条第三項の規定により、当該クレーンについて、所轄労働基準監督署長の検査を受けなければならない。ただし、所轄労働基準監督署長が当該検査の必要がないと認めたクレーンについては、この限りでない。

出典元:クレーン等安全規則

クレーン等安全規則の第六条ですので、ここでいうクレーンはつり上げ荷重が3トン以上のものになります。
落成とは、工事が完了したという意味になりますので、クレーン設置の工事が完了した際に、構造や性能などを検査することになります。

また、ここでも法という言葉が出てきています。
クレーン等安全規則の法は労働安全衛生法のことを指していますので、該当する第38条の規定を見てみましょう。

(製造時等検査等)
3 特定機械等(移動式のものを除く。)を設置した者、特定機械等の厚生労働省令で定める部分に変更を加えた者又は特定機械等で使用を休止したものを再び使用しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、労働基準監督署長の検査を受けなければならない。

出典元:労働安全衛生法

労働安全衛生法で検査を受ける旨の条文があります。
同様のことがクレーン等安全規則自体にも記載されていますので、法と規則の並びを示したもの程度に思っていただければと思います。

最後に、落成検査で確認すべき項目を確認して、クレーンの設置届の必要性と落成検査の必要性を探る旅を終わりにしましょう。

落成検査の実施項目は、同様にクレーン等安全規則で規定されています。
落成検査の実施項目は、落成検査を受けなければならないと規定した第六条で記載されています。

(落成検査)
2 前項の規定による検査(以下この節において「落成検査」という。)においては、クレーンの各部分の構造及び機能について点検を行なうほか、荷重試験及び安定度試験を行なうものとする。ただし、天井クレーン、橋形クレーン等転倒するおそれのないクレーンの落成検査においては、荷重試験に限るものとする。
3 前項の荷重試験は、クレーンに定格荷重の一・二五倍に相当する荷重(定格荷重が二百トンをこえる場合は、定格荷重に五十トンを加えた荷重)の荷をつつて、つり上げ、走行、旋回、トロリの横行等の作動を行なうものとする。
4 第二項の安定度試験は、クレーンに定格荷重の一・二七倍に相当する荷重の荷をつつて、当該クレーンの安定に関し最も不利な条件で地切りすることにより行なうものとする。この場合において、逸走防止装置、レールクランプ等の装置は、作用させないものとする。

出典元:クレーン等安全規則

まず、落成検査の項目は大きく分けて3つあることがわかります。

  • クレーン各部分の構造および機能についての点検
  • 荷重試験
  • 安定度試験

荷重試験安定度試験については具体的に何をするのかそのあとの項で規定されています。
条文を読んでもらえばわかりますが、クレーンの定格荷重を超える重量を揚重しての性能試験になります。

クレーンも製造物ですので、定格荷重を定めておりますが、安全率などが考慮されてります。
実際に揚重可能な重量はあくまで、定格荷重なのですが、検査の段階ではリミッターを切って定格以上の荷重を揚重させます。

また、クレーンの定格荷重は作業半径によって変わります。
したがって、基本的には、最大重量である最小半径での検査と最小重量である最大半径での検査をすることになります。

条文で詳細が記載されていない構造および機能の点検についてですが、項目がクレーンによってバラバラですので、規定がないものだと思われます。

構造というのはクレーン自体の構造になります。
設置届の中の資料としても提出が必要なのですが、クレーンを構成するポスト、ジブ、旋回体といった部分やワイヤーを巻き上げする部分など様々な部品でクレーンは構築されています。また、それぞれの部材をつなぐための高力ボルトなども部材の一つです。これら部材を設置届で提出した組立図通りかを確認していきます。

次にクレーンの性能には、つり上げ能力以外に様々なものがあります。
例えば、荷重試験でも出てきたリミッターなどです。その他にもワイヤーの過巻を防止する装置や旋回を規制する装置などさまざまな規制装置、センサーなどが備わっています。
これらを確認することが性能検査になります。

実際の落成検査では、試験用ウエイトを準備したりはしますが、検査自体は担当監督官が行いますので、確認項目やその細かさはまちまちとなります。

クレーン落成検査申請書の提出

最後に、落成検査で忘れてはならない書類を記載して終了にします。
クレーンを設置する際、設置届と落成検査が必要なことはこれまでも述べてきましたが、落成検査を実施するためには、設置届と別途、クレーン落成検査申請書というものの提出が必要になります。
クレーン落成検査申請書についてもクレーン等安全規則の第6条にて規定されています。

6 落成検査を受けようとする者は、クレーン落成検査申請書(様式第四号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

出典元:クレーン等安全規則

クレーン落成検査申請書とは、該当するクレーンの落成検査を何月何日に行いたいと申請するものです。
設置届を提出しているのだから申請書なんて提出しなくてもいいじゃん。と思われるかもしれませんが、クレーン落成検査申請書が必要な理由もしっかりとあります。

  • クレーンは組立だけではなく、一部を変更した場合も落成検査の対象となるため
  • 落成検査には手数料が必要なため

ほかにも理由はあると思いますが、以上のようなことがその理由です。
まず、構造ビルなどの建築の場合、タワークレーンを一度組立してもその後クライミングといって、ポストを継ぎ足し、タワークレーンの高さを建物の進捗に併せてあげていきます。
その場合、クレーンの変更に該当するので、都度都度、落成検査を受ける必要があります。

また、落成検査には手数料が必要です。
手数料自体も銀行振り込みなどではなく、収入印紙にて、提出するクレーン落成検査申請書に添付します。

落成検査を受けるためには、落成検査申請書というものがあるということだけは忘れずにしておきましょう。

おわりに

クレーンの設置する際に必要な、設置届と落成検査について該当するクレーンや落成検査の検査項目を中心にまとめました。
クレーン等安全規則を中心に条文を引用して説明してきましたが、抜粋引用であることは変わりません。実際にクレーン設置届を提出する際は、必ずクレーン等安全規則の条文を確認してください。インターネット検索でも全文が出てきます。

クレーンの設置届などについて、今回紹介した条文の確認だけでなく、実際の設置届はどのような資料を揃える必要があるのかや設置届を提出してから落成検査までどのような準備をしないといけないのかなど、現場監督として気にする項目はおおいと思います。
クレーン設置届~落成検査に関しては、今後も複数回に分けて記事を書いていきます。皆さんの現場管理の参考になれば幸いです。

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