鉄筋のかぶり厚さの規定

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かぶり厚さは建築基準法施行令、公共建築工事標準仕様書、JASS5などにその数値が規定されています。

それぞれのかぶり厚さはどう違って、実際にどの値を採用すればいいのでしょうか。それぞれのかぶり厚さを整理しましたので、かぶり厚さを理解して、現場管理していきましょう。

かぶり厚さの種類

まず、かぶり厚さには3種類あります。「最小かぶり厚さ」「設計かぶり厚さ」さらに「現場管理のかぶり厚さ」です。

最小かぶり厚さと設計かぶり厚さはその数値が基準法や設計図書、各文献によって規定されています。

現場管理のかぶり厚さとは、その名の通りで現場で管理する際に使用するかぶり厚さで、コンクリートの増し打ちなどを考慮しして、現場管理のためのに用いるものです。

よく勘違いされますが、設計かぶり厚さとは、施工・加工誤差を加味しています。
鉄筋加工の際に設計かぶり厚さからさらに絞ると過大なかぶり厚さとして、構造体に悪影響を与える可能性があります。適正なかぶり厚さ管理を行うように注意しましょう。

かぶり厚さ過大による影響は別の記事でエントリーしてます。
かぶり厚さは少なくても多すぎてもいけません。適正かぶり厚さの確保に注意しましょう。

実際の作業所で採用するかぶり厚さ

各文献などのかぶり厚さの規定をまとめる前に、それぞれの作業所で採用するかぶり厚さはどの文献の規定を採用すればよいのでしょうか

それは、設計図書になります。

かぶり厚さは必ず設計図書に記載があります。
構造特記にかぶり厚さの項目がありますので、必ず確認しましょう。

ただし、多くの設計図書でかぶり厚さは、「適用図書による」といった表記があることが多いです。

ここで言う、適用図書とは何かということも設計図書に記載されています。
具体的には、特記の最初の項に「「○○○○(文献名)」を当作業所の適用図書とする。」と記載されています。

まずは設計図書のかぶり厚さの確認を必ず確認してください。

それでは、基準法や各文献に記載されているかぶり厚さの規定を確認していきましょう。

建築基準法(建築基準法施行令)

建築基準法(建築基準法施行令)(以下、「建基法」とする)には、条文の中で以下のように定義されています。

(鉄筋のかぶり厚さ)
第七十九条 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては二センチメートル以上、耐力壁、柱又ははりにあつては三センチメートル以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあつては四センチメートル以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて六センチメートル以上としなければならない。
2 前項の規定は、水、空気、酸又は塩による鉄筋の腐食を防止し、かつ、鉄筋とコンクリートとを有効に付着させることにより、同項に規定するかぶり厚さとした場合と同等以上の耐久性及び強度を有するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材及び国土交通大臣の認定を受けた部材については、適用しない。

出典:建築基準法施行令

このままでは少し理解しにくいので、一覧表にまとめてみました。

かぶり不足は法違反

建築基準法で定められている最小かぶり厚さは法律ですので、このかぶり厚さが不足していると法違反になります。
建築基準法の最小かぶり厚さは必ず確保しましょう。

また、次章より紹介するかぶり厚さは、建基法を下回らないようなかぶり厚さが規定していることもポイントです。

公共建築工事標準仕様書(建築工事編) 

次に公共工事では標準仕様書として採用され、間工事でも標準仕様書や適用図書として多く用いられる「公共建築工事標準仕様書 平成31年版」(以下、標仕)でのかぶり厚さの規定を見ていきましょう。

標準仕様書の適用する版は必ずしも最新の版ではなく、設計図書に適用として記載されている版であることに注意しましょう

標仕では、建基法の規定を踏まえつつ、建基法では規定がない部位や、耐久性に有効な仕上げの有無による規定などを追加した形となっています。

また、一覧表として掲載されていますが、ただし書きとして文章でも記載してあります。一部のただし書きは部位や鉄筋径などを確認しないと表の数値とどちらを採用するか判断しにくいです。

標仕では以下のように最小かぶり厚さが規定されています。

出典:公共建築工事標準仕様書 平成31年版(建築工事編)

表の規定は内容を十分確認していただければよいと思いますが、標仕の規定で少しわかりにくい箇所は以下の2点と思います。

かぶり厚か規定の
分かりにくいポイント
  1. 主筋にD29以上を使用する場合は、主筋のかぶり厚さを径の1.5倍以上確保する。
  2. 「仕上げあり」とは、モルタル塗り等の仕上げとし、耐久性上有効な仕上げである。

①は主筋からのかぶりということに注意が必要です。
一般のかぶり厚さは、最外鉄筋(帯筋やあばら筋)からとなります。

したがって、表の数値のかぶり厚さとこの規定のかぶり厚さである1.5D(主筋径)-帯筋外径として計算しないとどちらが最小かぶり厚さになるかわかりません。

②は説明の通りですが、塗装やクロスといった仕上げを「仕上げあり」と勘違いしていた事例も見られました。

かぶり厚さとしてみることができる有効なものに限られます。

上記のような、標準仕様書に規定しているかぶり厚さの注意事項は別の記事でエントリーしてますので、ご覧ください。

設計かぶり厚さ(加工に用いるかぶり厚さ)

標仕には、設計かぶり厚さに該当する記載もあります。

ここでは、鉄筋の加工に用いるかぶり厚さはと記載されています。

設計かぶり厚さも一般的には最小かぶり厚さ+10mmとしています。

設計かぶり厚さというと構造設計はそのかぶり厚さで構造計算していますので、設計かぶり厚さを満足するために、鉄筋の加工でさらに鉄筋を絞ってしまうと、構造的には不利になってしまします。

かぶり厚さのが設計かぶり厚さより少し大きくなってもすぐに構造NGとなるわけではないのですが、かぶり厚さが過大になりすぎたり、部分的にギリギリの構造設計がされている場合は十分に注意が必要です。

建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事 2018

最後に建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事 2018(以下、「JASS5」)によるかぶり厚さの規定を記載します。

JASS5では、建物の供用年数によるかぶり厚さの規定を追加しています。また、標仕と同様に建基法のかぶり厚さを踏まえつつの追加規定となっていることもポイントです。

出典:建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事 2018

まとめ

まず、現場で採用するかぶり厚さの規定は、設計図書の特記に記載されています。

設計図書に記載がない場合や標準仕様書・適用図書によるといった表記があるとその文献によります。

標準仕様書として、多く用いられているのは、「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」です。

また、建築学会が発行している「JASS5」にもかぶり厚さの規定があります。

さらに、かぶり厚さは、建築基準法において必ず守るべき最小かぶり厚さが規定されております。標準仕様書、JASS5は建築基準法の規定を満足しつつ、規定がない部位などを補足するように規定されています。

おわりに

かぶり不足は法違反になる可能性もあります。適正なかぶり厚さ管理を行いましょう。

また、現場管理においては、最小かぶり厚さ、設計かぶり厚さだけでなく、以下のような項目を確認して、確実なかぶり管理を行いましょう。

かぶり厚さ管理ポイント
  1. 部位の確認、仕上げの確認
  2. 太径鉄筋など特別留意する但し書きはないか
  3. フカシなどを考慮した現場で実測できる型枠からのクリアランスの確認、部位別かぶり厚さの設定
  4. かぶり厚さごとの用いるスペーサーの種類一覧の表示

現場管理の重要なポイントであるかぶり厚さ、必ずその基準を理解してよい現場を作っていきましょう。

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