建築現場では、主に工事車両や工事重機の通路を敷き鉄板により整備を行っています。
どの現場でも必ずと言っていいほど見られる敷鉄板ですが、敷鉄板はただ敷けばいいというものではありません。
施工計画(主にクレーン計画)によって敷く範囲や鉄板の向きも変わってきます。
今回は、敷鉄板を敷くことの目的の一つ、施工地盤の不陸を調整するための鉄板敷きについて鉄板を敷く前の整地がいかに重要かを解説していきます。
敷き鉄板を敷く目的
まずは、敷鉄板を敷く目的を再度確認してきます。
目的はいくつかありますが、代表的なものは以下になります。
- 施工地盤の不陸を抑える
- 水たまり・泥によるタイヤ汚れを軽減する
- クレーン等の接地圧を分散する
基本的に敷鉄板は工事車両やクレーンが走行が走行する通路に敷くことになります。
建設現場は雨などの天候に左右されます。また、更地のところから建物を造るわけですから基本的には、外構工事するまでは、土がむき出しのままです。
工事車両が繰り返し走行するとどうしても轍(わだち)ができてしまうので水たまりができてしまうでしょう。
建設現場の整備に何も対策をしないと工事車両が現場の泥を道路まで引っ張り、工事現場内だけでなく、周辺の道路も汚してしまいます。
しかし、対策をするにしても、工事期間中にアスファルト舗装することはあくまでも仮設なので経済的にも好ましいとはいえません(もちろん、アスファルト舗装することもあります)。
また、アスファルト舗装してしまうと掘削工事や外構工事では障害になってしまうので、施工計画を考える上でも、どこでもアスファルト舗装してしまうのは、やはり難があります。
そこで、鉄板敷きにより、なるべく土・泥をタイヤで引っ張らないように対策していきます。
鉄板敷きの前の整地
敷き鉄板を敷くことにより、水たまりになりそうな不陸をならしたり、今後発生する轍を抑えることが可能です。
ただし、敷き鉄板を敷く前にやらなければならないことがあります。
それは、事前に整地することです。
タイトルにもありますし、当たり前じゃんと思うかもしれませんが、整地を十分にせず鉄板敷きを行い、そのまま工事を着工している現場はよくみられます。
なぜ、整地をしっかりしなければならないのでしょうか。
鉄板敷きしたからと言って、水がたまらないとは言えません。また、事前の整地があまく、鉄板下部に水が溜まってしまってからでは、それを解消することが非常に困難になるからです。
整地が甘かった場合の対策
敷き鉄板は、いくつか種類がありますが、現場整備に用いられるものの多くは、厚みが22mm程度あります。
また、サイズは12m×1.5m程度のもの(現場ではゴニジュウと呼んだりします)が標準となるサイズです。
鉄板の大きさに対し、厚み22mmは比率として薄いと言えるので、鉄板自体もある程度のたわみが生じます。
このたわみがあることで、工事現場の施工地盤の多少の不陸は吸収してくれるのですが、事前に整地や不陸調整を行わないと、敷き鉄板の下部に水が溜まってしまいます。
工事現場で、工事車両が通るたびに敷き鉄板の隙間から水が噴き上がっている現場を見たことはないでしょうか。
一度こうなってしまうと対策が非常に難しいです。
仮に敷き鉄板がなければ、晴れた日が続けばいつか水たまりはなくなるかもしれませんが、敷き鉄板があることにより逆に日が当たらず、いつまでたっても水が溜まったままとなってしまうことがほとんどです。
また、敷き鉄板は、繰り返し車両が走行することで、どうしても動いたり、ズレが生じます。
その対策として、敷き鉄板同士を溶接や専用の固定治具を使って連結しています。
したがって、一度敷き鉄板を敷き、溶接等で固定してしまったあとに水たまりを解消しようとすると、敷き鉄板の溶接を切って、持ち上げてから砂を入れるなど対応しなければなりません。
工事がすでに始まってしまうと、敷き鉄板をめくると言う対策をいつか取るかが非常に難しくなります。
工事車両が通るところに敷鉄板がありますので、大事な工事動線です。
工事動線を塞いで鉄板をめくったりといった対策を行いますの、この動線はしばらく使えなくなってしまいます。他に動線が確保できればいいですが、工事の制約が非常に大きなものになります。
不陸調整を後から行うと施工計画に大きな影響を及ぼす可能性があります。したがって、鉄板敷きを行う前に工事地盤をしっかりと確認して、レベル調整計画を行いましょう。
おわりに
不陸調整、鉄板敷きは工事が始まる前に整備されることほとんどです。
基礎工事と地上躯体工事で工事車両動線を切り替えることもありますが、その場合も敷き鉄板は必要最小限な切り替えになります。
着工前や着工直後で、準備や打ち合わせが多い時期でもありますが、事前にしっかりと計画しておくようにしましょう。
コメント