杭施工会社の担当者とゼネコン社員が杭工事確認ポイントの違いを解説

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杭工事管理ポイント

杭工事は建物を支える非常に重要な工事の一つです。
杭工事は地中での工事となることから直接目視することが困難であることから多くの管理ポイントがあり、それらを一つ一つ確認・記録することで施工品質を確保しています。

杭工事の施工管理を杭工事専門会社の現場担当者にお任せになっていないでしょうか。
ゼネコン社員は抜き取りでの支持層や電気抵抗値の確認では管理ポイントとして不十分です。

そもそも、杭施工会社が確認すべきポイントとゼネコン社員が確認すべきポイントは違います。
重複する管理ポイントもあることから、従来はお任せして施工後に記録を受け取るという管理が常態化していましたが、それで過去に大きな不具合につながった事例もあります。

こういった不具合を受け、現在ではゼネコン社員の全数杭立会い確認など管理が徹底されています。

今回はそこからさらに掘り下げ、本来、ゼネコン社員が管理すべき杭工事のポイントと現場に常駐している杭施工会社の担当者が管理すべき杭工事のポイントについて確認してそれぞれの役割を確認していきます。

目次

杭工事の特徴

杭工事は、冒頭でも述べたように、施工中の地中を直接視認・確認することができないという特徴があります。
また、そのほかにも杭工事の大きな特徴として、製品+工法が一体となって認定を取得しているものが多いという特徴もあります。

例えば、羽根付き鋼管杭の「NSエコパイル」は、構造計算と施工管理の方法セット大臣認定を取得しています。
羽根付き鋼管杭は先端に羽根が付いており、回転圧入によって施工する杭ですが、その羽根の形状や羽根を支持層にどのくらい貫入させるのか、さらに施工重機のオーガー形状などメーカーによって様々です。

したがって、杭工事は以下の3つのポイントを考慮して、管理する必要があります。

POINT
  • 杭工事の一般的な管理ポイント…杭芯・支持層
  • 杭種(場所打ち杭、既成杭)による管理ポイント…施工手順
  • 工法による管理ポイント…管理トルク値・セメント量

工法ごとに大臣認定を取っているので、その工法の認定を受けた杭施工会社・重機でしか杭施工をすることができませんし、大臣認定となると個々に管理ポイントも指定しますので、その把握が重要になります。

ゼネコン社員と杭施工会社担当者の管理ポイント

それでは、ゼネコン社員と杭施工会社の現場担当者の管理のポイントの違いを確認していきましょう。

両者の管理ポイントの違いを簡単に説明すると、どの指針を参照して現場管理しているかということになります。

CHECK
  • ゼネコン社員の管理:設計図書等に準拠して管理する。
  • 杭工事担当者の管理:杭工法の認定書等に準拠して管理する。

冒頭に杭不具合のニュースリンクを添付しましたが、この事件を受け、国土交通省が「基礎ぐい工事の適正な施工を確保するために構ずべき措置の実施に向けて」というタイトルの各種情報を公開しています。

ここに記載されている内容を中心に、各社が自主基準などを設けて適正に杭工事の管理を行っております。

ゼネコン社員の管理ポイント

ゼネコン社員の管理ポイントについて詳しく解説していきます。

CHECK
  • 設計図書から地盤条件、施工方法等を確認して、施工会社と共有する。
  • 杭の支持層到達の判断の責務を有する。
  • 杭施工会社から支持層到達の技術的判断(電気抵抗値等)に対して、その確認を行う。

ゼネコン社員はまず、設計図書に基づき現場管理を行っていきます。

設計図書には、設計特記、杭配置図や杭詳細図、杭設計特記など記載されていますので、これらをもとに杭工事の計画策定から始まります。

杭工法・杭工会社を選定した後、実際の現場での管理では、杭芯位置の確認や支持層の到達確認、出来形の確認が主な管理項目となります。
一つ一つの工事手順に対しても管理はもちろん必要ですが、工法によっても異なってきますので、詳細説明はここでは省略します。

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特に、ゼネコン社員の確認で重要になってくるポイントとしては、支持層到達の確認・判断になります。

支持層の到達はオーガーの電気抵抗値などをもとにして判断しますので、電気抵抗値の読み方はゼネコン社員より杭工事会社の担当者や重機オペの方が詳しいです。
ゼネコン社員としては、杭が支持層に到達したという報告を杭工事担当者から受け、抵抗値グラフを確認して、所定の波形を示していることを確認したり、実際のオーガー先端付近の土を採取して、土質標本サンプルと確認することが必要になります。

杭施工会社の管理ポイント

一方、杭工事施工会社の管理ポイントですが、基本的には、杭工法の大臣認定書や認定時の補足技術資料に適合しているかというポイントで管理していきます。

もちろん、現場ごとに杭工事施工要領書などの管理資料も作成するのですが、原則として認定通りの施工手順であることを確認しています。

私が実際の現場管理で経験した例としては、
既成杭で継杭の場合で、ゼネコン社員(私)は杭芯の位置、支持層の到達確認などを重点的に管理していきます。
一方、杭施工会社の最重要管理は、継杭の接合部のトルク管理・マーキングなどであることを杭工事担当者と話しておりました。

もちろん杭工事では杭芯確認、杭支持層の到達なども杭施工会社にとっても重要な管理ポイントであることは変わりません。
施工責任を果たすためにもこれらの管理ポイントについても確実な管理を杭工事施工会社は行っていきますが、最終的な判断・管理責任はゼネコン社員に及ぶということを理解しておきましょう。

おわりに

杭工事は請負工事金も多い工事なので、基本的に杭施工会社の担当者が常駐で現場管理を行います。
これまで述べたように、重複する管理ポイントも多くあるので、杭施工会社に管理をお任せにしていて、ゼネコン社員は抜き取りで現地確認をしたり、杭工事がすべて完了した後に、杭施工記録報告書を受け取るといった管理が以前は常態化していました。

それで、事故も起きたことですから、現在では支持層の確認に対する責任の所在の明示化や杭施工記録報告書の工事日ごとの提出・確認が必須なってきました。

杭工事の杭芯確認・支持層確認をすべての杭に対して現地確認するとゼネコン社員の杭工事担当者も1日中、杭工事にへばりつきになります。

そのため若手社員が任されることが多いのですが、建物を支持する最重要部であること、地中での工事で不具合が生じていたとしても発見・補強等が困難な場合が多いことを理解して、ひとつひとつの管理ポイントを確実にチェックしていきましょう。

杭工事管理ポイント

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