足場壁つなぎの取付け方、種類を解説

足場の壁つなぎ

足場には、風荷重などの外力が作用しています。作用する水平力(主に風圧力)によって外部足場が倒壊してしまわないように建物も足場を固定するために用いる部材を壁つなぎといいます。

壁つなぎに用いる部材は、壁つなぎ専用金物と呼ばれる部材があります。
しかし、建物の構造や工事の種別によっては壁つなぎ専用金物が設けられず、単管パイプなどを用いて建物と足場を固定することになります。
壁つなぎ専用金物に対し、単管パイプでの壁つなぎでは、その許容耐力が落ちることになります。

したがって、壁つなぎの強度計算を実施する場合は、足場の設置場所や養生材の違いによる作用する風圧力だけでなく、壁つなぎ部材の種別をしっかりと把握しておくことが必要です。
しかし、強度計算書の作成の際に、しっかりと現場の状況を説明せずに、計算書は壁つなぎ専用金物なのに、実際には単管パイプで取り付けているということがたまに見られます。

また、壁つなぎに作用する風荷重は強風時の瞬間的なものであることから、ベテランの現場監督でも「そんな風吹かないでしょ」と言う方もおられます。壁つなぎをケチったことによるコストメリットと万が一の損害(場合によっては人命にもおよぶ)どちらを優先するでしょうか。

さて、壁つなぎ専用金物での壁つなぎの取り方や単管パイプを使っての壁つなぎの取り方、それぞれの注意点を説明していきます。

壁つなぎ専用金物の場合

壁つなぎ専用金物は一端がクランプ、もう一端が雄ネジ形状となっている壁つなぎ専用の金物です。
また、クランプ側がジャッキ機構となっており、足場と建物の離れによって長さを調整することができます。

躯体打ち込みインサートの場合

RC造などにおいては、コンクリート打ち込み前に壁つなぎ金物受けとなるインサートを取り付けるのが一般的です。
インサートは壁つなぎのネジ径にあったw1/2のメスネジと型枠と挟み込むためのキャップが取り付いています。

その形状は、メーカーによって異なりますが、後からシールや無収縮モルタルで壁つなぎ孔を潰せるように加工したものなどもあります。外壁の仕上げによってこれらは採用しましょう。

躯体打ち込みの場合の注意点は取り付けを忘れないことと適正にコンクリートを打設することに尽きます。
コンクリート打設前は配筋検査などイベントが多くバタバタしているかと思いますが、忘れずに手配しましょう。
また、コンクリートにジャンカや充填不良などが生じているとインサートが適切な強度を発揮できません。打設時緩みがないかとコンクリートがインサート周囲に十分に回っているかは確認しましょう。

先付けプレートアンカーの場合

壁つなぎ専用金物を使う場合でも、S造や外装が金属パネルであったり、ALC,ECPなどの場合はインサートが異なってきます。

まず、インサートの強度を担保するために確実な取り付け方法としては先付タイプのプレートアンカーの取り付けです。
プレートアンカーは、一端が壁つなぎ専用金物が取り付くナットともう一端がプレート形状になっています。

このプレート部を鉄骨や胴縁に先に溶接固定で取り付ける方法です。また、溶接の場合は工場溶接が基本になります。

工場溶接が基本となることから、鉄骨・胴縁の製作・製作図作成の際には指示が必要です。
外部足場計画する際は、まだ胴縁ピッチなどが確定していない場合もあります。早めに鉄骨ファブなどと調整して取り付ける必要があります。

後付けプレートアンカーの場合

壁つなぎ専用金物を取り付ける場合の受けナットは、後付けプレートアンカーと呼ばれるものもあります。こちらは名称は似ておりますが、先付けプレートアンカーとは全く異なりますので、採用の際には注意が必要です。

後付けプレートアンカーのほとんどは、壁つなぎ専用金物の受けナットともう一端が、ビス形状になっているのがほとんどです。
後付けと言う名前の通り、ALC,ECPなどの外装仕上げを施工した後に取り付けるものとなります。

ビス固定であることから、その許容耐力はビスの引抜きによって決まってきます。一般的には、壁つなぎ専用金物の耐力より低くなりますので、強度検討の際には、メーカーの許容耐力を必ず確認するようにしましょう。

基本的に、後付けプレートアンカーを使用する場合は改修工事などの限られた場合です。新築では基本的に採用しないと心掛けておきましょう。

キャッチクランプの場合

壁つなぎには、壁つなぎ専用金物を使用せず、単管パイプ+クランプ固定とする場合もあります。
一般的には、S造において、鉄骨建方時は大梁から単管パイプ+クランプで壁つなぎをとる。その後、外装取り付けの胴縁がに取り付けたプレートアンカーに盛り変えるという方法をとります。

鉄骨梁の場合、キャッチクランプを用いて単管パイプと足場を固定します。

ここで注意したいのは、クランプの滑り耐力です。単管パイプがあまりに長い場合は、単管パイプの座屈も注意する必要がありますが、壁つなぎに用いる場合はそこまで長くなることはないと思います。

クランプにはせん断耐力と滑り耐力が規定されています。
滑り耐力は、クランプのせん断耐力より小さいのです。また、単管パイプに長さ分けの塗装がしてあったり、クランプの締め付けが甘いと耐力はカタログ値より小さくなります。

単管パイプ+クランプで壁つなぎを計画する場合は、捨てクランプを必ず設けるようにしましょう。捨てクランプとは梁などに取り付けたキャッチクランプと別にもう一つクランプを取り付けて滑りを防止するためのものです。

なお、クランプはそもそもの耐力として、壁つなぎ専用金物より耐力は低いです。S造などで後で盛替えが発生する場合、盛替え前も後も同じ位置に壁つなぎが取り付くと言うことは基本的にありません。必ず、単管パイプでの壁つなぎ、盛替えごの専用金物での壁つなぎ、それぞれのパターンで強度検討しましょう。

単管パイプ挟み込みの場合

壁つなぎの取り付けのパターンとしてもう一つ、単管パイプによる挟み込みがあります。
これは単管パイプでF型の形状を作成して単管パイプで躯体を挟み込むというものです。パラペットの部分や解体工事の際によく見られる壁つなぎの形になります。

挟み込み式で注意が必要なのは、まずは単管パイプ+クランプと同様にクランプの滑りになります。
したがって、単管パイプ+クランプ同様に捨てクランプの取り付けを行いましょう。

また、挟み込み式の場合躯体との固定が確実になされていなことも注意が必要です。
強度計算上では壁つなぎには風荷重による圧縮または引張が作用するものとして計算します。しかし、実際の風は、建物にぶつかった後上部に抜けていこうとするため、吹き上げが生じることになります。

挟み込み式の場合、吹き上げに対して有効なのは、挟み込んでいる単管パイプの長さだけになります。吹き上げ力が生じて、仮に単管パイプが持ち上げられたとしても、挟み込んでいる躯体から外れないような長さを確保をしておくようにしましょう。

具体的な強度計算(挟み込みパイプの長さ)はほぼ不可能に近いです。間違っても挟み込んでいるのが、クランプだけと言うようなことはないようにしましょう。

まとめ

壁つなぎの種類について解説しました。

壁つなぎのという言葉自体は、建物と足場を固定することという定義です。壁つなぎの取り方は、専用金物を使うのがべターですが、建物構造や工事種別によって変わってきます。

壁つなぎの取り方の種類として代表的なものは以下の通りです。

  • 壁つなぎ専用金物を用いる場合
  • 単管パイプとクランプで固定する場合
  • 単管パイプで建物を挟み込む場合

壁つなぎ専用金物の場合は、専用金物自体には、強度が担保されておりますが、専用金物をつけるインサート、アンカーには注意が必要です。

  • 基本は、躯体打込みインサートや先付けプレートアンカーを用いましょう
  • 後付けプレートアンカーは改修工事などに限り採用しましょう

単管パイプによる場合は、クランプ自体が壁つなぎ専用金物より許容耐力が低いということに注意が必要です。

  • クランプの滑りを防止するため、捨てクランプを設けましょう
  • 挟み込みの場合は、吹上げ風に注意しましょう

壁つなぎは、強度が担保できる安心できる壁つなぎの選定と採用した壁つなぎの方法に適した強度計算・現場管理の実施を徹底していきましょう。

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