【実務】コンクリート数量計算の手順と当日の調整

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コンクリート工事は、打設当日は基本的には現場張り付きとなることから、若手社員が担当することになる工事です。

ただし、コンクリート工事は、事前の施工計画、当時の打設立会いと多くのやることが発生します。

コンクリート工事での、施工計画のポイントはいくつもありますが、今回は、コンクリートの数量計算について紹介します。

コンクリートの数量計算は、打設計画を行う上での概算数量算定や打設当時の数量調整といった場面に分けることができます。

基本的には、体積を計算するだけなので、計算自体は難しくありません。
ここでは、より実務に近い計算方法の一例を紹介していきます。

目次

数量算定は概算から詳細まで何度も行う

まずは、コンクリート数量計算の全体について、紹介していきます。

コンクリートの数量計算は、概算計算から詳細計算と計画する時期に応じて、何度か計算することが一般的です。 それぞれの計算タイミングで計算の詳細度も異なってきます。

計画段階で、細かい計算をしても、打設当時にほぼ無意味になってしまいますので、無駄な時間をかけない・時短のためにもそれぞれの計画のタイミングでの計算方法を見ていきましょう。

工事現場におけるコンクリートの数量計算は主に以下のタイミングで計算されます。

POINT
  • 打設工区割りを決定するタイミング
  • 打設前に打設計画を策定するタイミング
  • 打設当日のコンクリート発注・数量調整のタイミング

打設工区割り計画時点の算定

まずは、打設計画での数量計算です。

コンクリートは1日に何㎥打設できるかという概算歩掛りはお持ちでしょうか?
コンクリート工事に限った話ではなありませんが、施工計画する上でこういった概算数量を持っておくことは重要になります。

コンクリートの場合、建物の構造、打設する部位によっても大きく異なるのですが、RC造の地上躯体(柱・梁・構造壁・床)の場合は、ざっくりと1日200~230㎥/台(ポンプ車)として私は計画していました。

私が、工事現場にいたときは、日中ギリギリまでコンクリート打設して、夜中まで、コンクリート押さえをしていることが多かったのです。
しかし、昨今はコンクリートの品質はもちろんですが、労働時間も顧慮して、午前中や昼過ぎには打設完了して、コンクリートの抑えも夕方までには完了しようとする計画も多いので一概に言えるものではありません。

工区割りで全体工程も決まるので、クリティカルパスに絡む躯体のコンクリート工事の工区割りは施工計画当初に決定されます。

この段階の数量計算はざっくり計算です。

柱が何本、大梁が何本、床が何㎡といったレベルで算定することが多いです。
柱も大きさはそれぞれバラバラではありますが、1本あたり何㎡として、あとは本数を掛けるだけといったざっくりのものになります。

また、工事系契約前に、積算が必ずあると思います。
積算時点でも数量計算は行ってますので、この数量を用いてざっくり計算することもあります。

積算で、1階躯体の数量が、2000㎥となっている、4分割で工区割りすると1回の打設でポンプ車2台は必要になるな、2台で回せば何とかなるかな。
ここまでざっくりでいいのはまだ計画段階だからです。

全体工程表を作成する目的で数量計算するため、コンクリート以外にも数量計算する工事はたくさんあります。

また、全体工程さえできてしまえば、コンクリート商社やプラントに予定数量と打設の時期を伝達することも可能です。

打設計画作成時点の策定

次のタイミングは、打設計画作成のタイミングです。

打設の10日~2週間くらい前を目安に行うことが多いでしょうか。

この時点では、施工図などをもとにしっかりと計算していきます。
ここでのコンクリート数量をもとに、コンクリート打設工事に必要な協力会社にも、必要な作業員の数など伝える必要にもなりますので、部位別に算定したりします。

例えば、全体のコンクリート数量から生コン車の必要台数を算定してもらったり、打設班から土工や立ち会う大工などの人数を算定したり、床面積から必要な左官屋・土間屋の人数を算定してもらいます。

この時点の計算があまく、打設当時に突然+100㎥必要といっても対応できないこともあります。

コンクリート工事は、他の作業所でも行ってますし、プラントも打設量から必要な台数をかきあつめたりしていることを理解しておきましょう。

数量算定手順の詳細

この時点の数量算定について詳細を紹介しておきます。

コンクリート数量の計算は打設部位の順番と打設高さを考慮して、それぞれの部位で計算していきます。
コンクリートの打設は基本的に、柱・壁→梁→床の順で打設していきます。

柱・壁の数量計算

まず、柱・壁のコンクリート打設は梁下の高さまで打設を行います。

したがって、柱・壁の打設数量は柱高さ(≒階高)-梁成として、コンクリート数量を計算しておきます。
また、柱のコンクリート数量は打設計画によって、どこまでまとめておくか決めておくと望ましいです。

例えば、面積的に広い現場であれば、柱を数本打設して、その範囲の梁を打設、最後に床とブロックごとに打設することが多いでしょう。
一方で、面積がそこまで広くないのであれば、すべての柱を打設して、梁打設、床打設と施工することもあります。

この時に、柱と床では打設のスピードが異なります。
生コンを手配するときに、何㎥までは柱の予定だから、アジテータ車(生コン車)は1時間当たり○○台くらい用意してと伝えることもできます。

梁の数量計算

次に梁のコンクリート打設数量計算です。

梁の数量計算も梁高さまで一気に打設するのではなく、スラブ下までの打設が基本となります。

梁せいは、多くの場合、スラブ厚さを含んでいることになるので、梁のコンクリート数量は、梁成-スラブ厚となります。
もちろん、コンクリートの増し打ちなどが考慮されている場合もあります。

基本はスラブ下まで打設を行うということを理解してコンクリート数量を拾っておきます。

また、梁のコンクリート数量にあわせて、梁高さ部分の柱の数量も忘れずに計算しておきましょう。
梁下まで打設済みの柱は、梁を打設するときに一緒に次はスラブ下まで打設します。

それぞれの梁ごとにコンクリート数量を計算できたら、ある程度のスラブ範囲ごとにここまでは梁が何本で何㎥といった範囲で計算しておきましょう。

床の数量計算

最後に床の数量算定です。

柱・梁の部位をスラブ厚下まで、打設した状態なので、面積×スラブと単純な計算が可能です。
ただ、スラブ厚のほかにふかしがある場合は注意してください。

梁の時と同様に、床のコンクリート数量も工区単位で概算しておきましょう。

最後に、計算値を合計して工区全体の数量を確認しておきます。

ここで、当初の概算数量と大きく異なる場合は、何かしら間違っているかもしれないと感づくことができます。

打設当時に間違いに気づいても対応できません。

打設計画は協力会社とも共有しておく

打設計画と数量算定ができたら、協力会社とも計画の共有をしておきましょう。

普段から現場に入場している、型枠大工、土工といった協力会社んの伝達は行っているかもしれないですが、打設当日しか入場しない、コンクリート圧送屋、ポンプ屋とも共有しておくことが重要です。

ポンプ車の大きさや性能によって、どういう手順で打設するのか、梁をすべて打設してから床を打設するのか、梁をいくつかの工区分打設してその範囲の床を打設として徐々に打設するのかなど決めておく必要があります。

打設当日のコンクリート発注と調整

いよいよ、打設当日になりました。

まず打設当時においては、初回の発注として、何㎥手配するのかなど決めて置いたりします。

昼食休憩を取るかどうかによって決めたりもします。

何㎥分はノンストップで出して、途中30分開けてと発注したりします。 また、この時点では、想定数量より少なめの数量をまず、何㎥までは出してOKとすることが多いです。

私の場合は、柱・梁+αの数量は出しててもらうように連絡をすることが多かったです。

最後のコンクリート数量調整

コンクリート数量の調整は、若手社員が非常に悩む作業の一つになります。

基本的には、後何㎥必要になるかを伝えるだけですが、多く余らせてしまうと、無駄な費用が発生するので、所長に怒られます。

一方で、数量が少なすぎて、追加発注を何度も何度も行ってしまうと無駄な待ち時間が出たりして、作業員さんに怒られます。
それだけではなく、コンクリートは打設後からどんどん硬化していきますので、構造に影響を与えるようなコールドジョイントなどが発生しても目が当てられません。

コンクリートの数量調整は、プラントから現場までの距離によっても異なったりなりますが、大体打設完了の100㎥前くらいには完了しておきたいものです。

または、昼休みを取る場合は、その時点であと何㎥と調整しておきたいものです。

コンクリートの数量調整が難しいのは、打設が計画通りに必ずしもいかないからです。

施工図通りの施工は絶対ではありませんし、コンクリートの数量計算には、鉄筋の分を差し引くとというとはしません。
ただ、コンクリートの側圧で型枠が少しはらんだりと想定よりコンクリート数量が多くなってしまったということもあります。

また、計画では、最初はこのスパンまで打設としてから次の工区になどと計画していたのに、実際に想定のスパン+半スパン打設してしまったということもあります。

ポンプ車もブームや圧送管の中に残コンがあっては、次に移れないとので、仕方ないところです。

しかし、そういったときに設計画に作成していたスパン当たりのコンクリート数量が役に立ちます。

梁の打設をすべて行った、最後に床のコンクリート打設を行い、床コンクリート打設中に数量調整を行う場合は以下のようになります。

CHECK
  1. 未打設の床範囲のスパンごとの数量から残りの数量を算定する。
  2. 計画とは異なり、半スパン打設済み・梁の打設に一部スラブが打設された数量を考慮して、現地で直接スケールで計測し、計算する。

この時に、床のコンクリート計算を一からやっていたら対応できません。
そのために打設計画時点でスパン当たりの数量を算定しておきました。

スパンごとの数量をもとに、残りの打設範囲から必要コンクリート数量を計算できるようにしましょう。そして、計画通りに一体箇所は実測します。

おわりに

コンクリートの数量計算について、私が実務で行っていた計算や数量調整をもとに紹介しました。

私が、コンクリート担当しては、作業所はプラントまでの距離が比較的長く、だいぶ早めの段階で最終調整を行う必要がありました。

数量調整に失敗して、後1.5㎥足らず、作業員さんを待たせてしまったり、チキって余裕を見過ぎて生コン車1台分丸々余らせてしまうという経験もしました。

ポンプ車で圧送するので、ポンプ車の中を空になるまで打ち切ることはできないので、残こんお0といのは、基本的には困難です。

残コンの発生は、経済的に環境的にも負担がかかるので、なるべく減らしておきたいところです。

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