足場強度計算書のExcelテンプレート、販売中 → 計算書を見る

乗入れ構台の計画と強度検討のポイント|覆工板・根太・大引・支柱・ブレース

当ページのリンクには広告が含まれています。

乗入れ構台は、根切りした地下の上に車両や重機が乗り入れるための仮設です。
山留め・掘削から地下躯体の構築まで、揚重や生コンの荷受けの拠点になり、地下工事の段取りはこの構台の上で回っていきます。

ただ、仮設だからといって既製の部材を並べれば済むものではありません。
乗入れ構台を構成する覆工板、根太、大引、支柱、ブレース、どの部材で何を受けているかを押さえておかないと、強度計算は通っていても、使い方ひとつで想定外の荷重がかかります。

今回は構台の構成と荷重の流れから始めて、部材ごとの検討項目、形状の決め方、地下躯体との取り合い、施工中の管理までを順に整理していきます。

目次

乗入れ構台の構成と荷重の流れ

構台は上から、覆工板、根太、大引、支柱の順に組まれています。支柱どうしは水平つなぎとブレースで固め、支柱の下端は杭として支持地盤まで根入れするのが一般的です。

車両やクレーンの荷重は、覆工板から根太へ、根太から大引へ、大引から支柱へと伝わり、最後は支柱下部の地盤で受けます。一方、車両の制動や旋回、クレーンの作業で生じる横方向の力は、ブレースと水平つなぎが受け持ちます。鉛直は支柱と地盤、水平はブレース、という役割分担です。

したがって強度検討も、この流れに沿って上から順に確認していくことになります。どこか一つでも弱い部材があれば、そこが構台全体の弱点になります。

覆工板は車両走行荷重を前提にした部材

最初に確認しておきたいのが覆工板です。覆工板は本来、道路の開削工事で路面を仮に覆うための床版で、道路を走る車両の荷重に対して設計されています。

その基準になっているのが、道路橋示方書のT荷重です。
T荷重は、橋の床版を設計するときに使う車両の荷重で、総重量25tの大型トラックを想定し、タイヤ1輪あたり100kN(衝撃を見込むと140kN)が500mm×200mmの接地面に載るとして扱います。

建築の現場ではあまり耳にしない荷重ですが、覆工板のカタログや強度表はこのT荷重を前提に書かれています。つまり覆工板は、トラックのタイヤ1輪が載ることを想定した部材です。

覆工板の形状や構成も押さえておきましょう。
覆工板は、見た目では分かりにくいですが、縞鋼板の面を持つH形鋼を幅方向に数本並べて溶接し、一体化したものです。メーカーのカタログでも、H形鋼1本あたりが負担する荷重の割合を実験から定めて計算しています。見た目は一枚の板でも、実際にはH形鋼の束です。1点に大きな荷重が載れば、その直下のH形鋼に荷重が集中します。

クレーンのアウトリガー反力は、機種によっては数百kNから1,000kNを超える領域に入ります。
T荷重の輪荷重100kNとは桁が違うため、覆工板の上にそのままアウトリガーを据える計画は成立しません。

そこで計画では、次のどちらかで荷重を分散させます。

クレーン荷重が作用する覆工板の計画
  • 覆工板の一箇所に集中荷重として載せず、敷板などを介して覆工板全体に分散荷重として作用させる
  • 覆工板の上にさらに桁材を設け、その桁から根太へ直接荷重が伝わるようにする

どちらの場合も、アウトリガーの位置と根太・大引の位置関係を図面で押さえておくことが前提です。「覆工板を敷いているから大丈夫」ではなく、その荷重が覆工板のどこに載り、どの根太へ流れるのかまで描けているかを確認しておきましょう。

根太・大引・支柱の検討項目

根太・大引

根太は覆工板を受け、大引は根太を受けて支柱へ荷重を渡す横架材です。検討は曲げ、せん断、たわみが基本になります。

検討は基本的に、いちばん不利な条件で行います。
曲げであればスパンの中央、せん断であれば端部に積載荷重が作用するとして確認します。車両の走行位置やクレーンの据付位置は工程によって変わるので、どこに載っても成り立つよう、安全側の条件で検討しておきましょう。

なお、大引は支柱上で連続する配置が多いので、支点となる支柱の反力もここで拾っておきます。

支柱と支持地盤

支柱は大引からの鉛直荷重を受ける圧縮材です。根切りが進むと、支柱の地上に出ている長さが伸び、座屈しやすくなっていきます。
そこで、掘削の進み具合に合わせて、どの深さまで掘削してよいか、座屈を防ぐためのブレースや水平つなぎをどの段階で取り付けるかを、あらかじめ計画しておきます。所定の深さまで掘削したら、速やかにブレースを取り付ける段取りまで施工計画に入れておきましょう。

支柱の下部は、杭として支持地盤で荷重を受けます。構台の鉛直荷重は最終的にここに集まるので、地盤調査の結果から支持力を確認します。構台の事故として多いのは、支持力の不足で支柱が沈下し、車両や重機が根切り底へ落下するケースです。上部の部材がいくら丈夫でも、足元が沈めば構台はもちません。

水平力とブレース

構台では横揺れに備えて、鉛直荷重の5%を水平力として見込みます。
この水平力を受け持つのがブレースと水平つなぎです。支柱だけでは水平力に抵抗できないため、ブレースの設計は鉛直方向の検討と同じくらいの重みがあります。

ブレースは45度方向に取り付けるのが、水平力を受けるうえでは最も効率のよい配置です。角度が45度から外れるほど、同じ水平力でもブレースにかかる力は大きくなります。

ただ、施工中はこの45度を保ちにくい場面がほとんどです。実情に合わせた計画を行うようにしましょう。ブレースの施工条件などは後述します。

構台の形状は施工計画を詰めてから決める

構台の広さと配置は、強度計算の前に施工計画で決まります。

構台を必要以上に広く設けると、地下部へのアプローチが難しくなります。

掘削重機の出し入れ、揚重の開口、地下躯体の施工スペースが構台に覆われてしまうからです。
かといって狭すぎると、クレーンの据付位置が取れない、工事車両がすれ違えない、生コン車とポンプ車が同時に入れないといった支障が出ます。

どの車両がどこから入り、どこで何を揚重し、どこから地下へ資材を下ろすのか。工程ごとの使い方を詰めたうえで、最終的な形状を決めていきます。ここが曖昧なまま構台を組むと、施工中に拡幅や盛替えが必要になり、その都度検討をやり直すことになります。

地下躯体との取り合い

構台は地下躯体の上に組まれ、地下躯体は構台の下で立ち上がっていきます。そのため、根太・大引・覆工板の位置と、柱や梁の鉄筋の位置は計画段階で重ねて確認しておく必要があります。

特に注意したいのが、柱の差し筋です。

根太と大引では下端の高さに数百mmの差があります。この間で差し筋が納まるかどうかは、事前に確認しておきたいところです。どうしても大引の直下に鉄筋が来る場合は、差し筋の長さや継手位置、構台の部材配置を含めた納まりの検討が必要になります。

支柱の位置も同じで、基礎杭や地下の柱・梁など、主要な構造部分に当たらない位置に計画します。それでも配置の都合で、どうしても支柱に躯体を貫通させて対応する場面があります。その場合は、次の点を工事監理者や構造設計者と事前に確認しておきましょう。

構台部材の残置確認ポイント
  • 支柱を躯体内に残置してよいか
  • 残置する場合、防水と端部の処理をどうするか
  • 支柱を撤去してから後施工で躯体を仕上げるか

貫通部は止水上の弱点になります。止水テープの設置など、止水処理の方法も施工計画に盛り込んでおきます。

施工中のブレース盛替え

計画時に計算上最も有利な45度で配置したブレースも、施工中は掘削作業の邪魔になることがあります。

バックホウがブレースの下を通過しないといけないので、なるべく高い位置に、角度をつけて取り付けたくなります。まずは、施工条件を協力会社とも確認して、計画が絵に描いた餅になっていないか適切に計画しましょう。

ただし、作業の都合で一時的に外す場面もあるかと思います。盛替えをするときは、次の点を確認しておきましょう。

ブレース・水平材の施工計画
  • ブレースを外している間に、その区画へクレーン荷重や車両荷重が作用しないか
  • どの高さに取り付けるのか。その寸法を作業寸法として協力会社と合意できているか
  • 取付け高さや角度を変えた後の配置で、水平力を負担できるか(45度から外れた分、ブレースにかかる力は大きくなります)
  • 実際に施工計画どおりの高さ・角度で設置されているか
  • 復旧時の固定方法は適切か、元の性能まで戻せるか

「少しの間だけ」のつもりで外したブレースほど、復旧のタイミングがあいまいになりがちです。外す期間と、その間の使用制限まで決めて、関係者に周知しておきましょう。

日常計測と想定を超えたときの備え

構台は強度計算を行っていても、土質や周辺環境の影響を大きく受けます。地盤の支持力が想定より低かった、掘削で支柱まわりの土が緩んだ、周辺の工事や地下水の変化で地盤が動いた、といったことは計算の前提そのものを変えてしまいます。

そこで施工中は、傾斜計を設置して日々計測し、計画時の想定以上の荷重や変形が生じていないかを確認していきます。あわせて、計測値が管理値を超えた場合に、どの部材をどう補強するのかを事前に決めておきます。

異常が出てから補強方法を考えるのでは、間に合わないです。
更に構台の崩壊や周辺地盤の崩壊は重大な災害に直結します。地下部の工事における大半の仮設費を締める大きな計画ですが、施工性・経済性・安全性バランスをもって施工計画しましょう。

広告掲載のご案内|建設の実務者に届く広告枠。施工計画・足場・鉄筋を調べる人が読んでいます

おわりに

乗入れ構台の検討は、覆工板から支柱の下の地盤まで、荷重がどう流れるかを追うところから始まります。覆工板は車両走行荷重(T荷重)を前提にしたH形鋼の束であること、水平力はブレースが受け持つこと、この2点を押さえるだけでも、計画の見え方は変わってくるかと思います。

そのうえで、構台は計算して終わりではありません。形状は施工計画から決め、地下躯体との取り合いを詰め、施工中の盛替えと計測まで含めて計画していきましょう。


Excelでの仮設物構造計算書を探してますか?

一級建築士として現場での施工計画・設置届提出を経験してきた著者が、すぐ使える足場強度計算書をExcelで販売しています。

こんな計算シートが欲しい、というご要望も受け付けています → 30秒アンケートに答える

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする


日本語が含まれない場合は表示できません(スパム対策)

目次