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中桟・下桟・幅木(はばき)とは?足場の墜落防止設備の呼称と安衛則の基準を整理

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中桟・下桟・幅木とは|足場の墜落防止設備

中桟(なかざん)・下桟(したざん)・幅木(はばき)とは、足場の作業床まわりに設置する墜落・物体落下防止のための部材のことです。

TOPIC!

墜落防止目的になるか、物体落下防止目的になるか、またはその両方を兼ねるかは部材によって異なります。

現場では「中さん」「中残」「巾木」「つま先板」など表記や呼称が入り混じっており、書類をつくるときに毎回迷うという人も多いのではないでしょうか。
今回は、それぞれの呼称と役割、そして労働安全衛生規則での位置づけを整理していきます。

目次

読み方・表記ゆれ

  • 中桟:なかざん(「中さん」と書かれることもあります。漢字としては「桟」の字を使います)
  • 下桟:したざん(「下さん」と書かれることもあります)
  • 幅木:はばき(「巾木」と書くこともあります。建築内装でいう巾木とは別物で、足場用語としての幅木はつま先板、英語では toe board を指します)

それぞれの役割

ここで取り上げる部材は、足場の構成部材のうち、墜落防止と物体落下防止に関わるものです。
部材によって目的が異なりますので、足場計画の際にはこの違いを意識して計画していきましょう。

手すり作業床(布板・アンチ)から一定の高さに設け、作業員が外側に転落するのを直接防ぐ部材です。

中桟:手すりと作業床(または幅木の上端)の中間に設ける横材です。手すりだけでは隙間が大きく、体勢を崩したときにすり抜けて墜落するおそれがあるため、中間にもう1本通して開口を狭める役割を持ちます。

下桟:枠組足場で、交さ筋かいの下側にできる隙間をふさぐために入れる横材を指すのが一般的です。労働安全衛生規則ではこの部材を単に「高さ十五センチメートル以上四十センチメートル以下の桟」と書いており、「下桟」という語は使われていません。枠組足場以外の足場に入れる「中桟等」(高さ35cm以上50cm以下)とは、適用される条文も高さの範囲も異なります。書類では足場の種別とセットで、どちらを指しているのかがわかるように書いておきましょう。

幅木(はばき):作業床の端に立ち上げる板状の部材です。主な役割は、工具や資材が蹴られて下へ落下するのを防ぐこと(物体落下防止)で、足場の外へ落とさない設備という点では朝顔(防護棚)と層をなす関係にあります。
ただし幅木の役割はそれだけではありません。枠組足場では、交さ筋かいと組み合わせた高さ15cm以上の幅木が、墜落防止設備の一つとして認められています。同じ「幅木」でも、物体落下防止として設けるもの(高さ10cm以上)と墜落防止設備として設けるもの(高さ15cm以上)では根拠となる条文も必要な高さも違いますので、計画段階でどちらの目的で設けているのかを整理しておきましょう。

労働安全衛生規則で定められている基準

労働安全衛生規則(安衛則)第563条第1項第3号では、足場の作業床のうち墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所について、足場の種類ごとに設ける設備(条文上の呼び名は「足場用墜落防止設備」)が定められています。

  • 枠組足場(妻面に係る部分を除く):交さ筋かい+高さ15cm以上40cm以下の桟もしくは高さ15cm以上の幅木(またはこれらと同等以上の機能を有する設備)、または手すりわく
  • 枠組足場以外の足場(くさび緊結式足場、単管本足場など):手すり等+中桟等

ここでいう「手すり等」は高さ85cm以上の手すり又はこれと同等以上の機能を有する設備、「中桟等」は高さ35cm以上50cm以下の桟又はこれと同等以上の機能を有する設備を指します(安衛則第552条第1項第4号)。つまり85cmや35〜50cmという数値は、枠組足場以外の足場に適用される数値です。
枠組足場と枠組足場以外は並列の振り分けであって、「一般規定と特例」の関係ではありません。ここを取り違えると、枠組足場なのに85cmの手すりと中桟を要求してしまったり、逆にくさび緊結式足場へ交さ筋かい方式を流用してしまったりします。

なお、第563条第1項の柱書では一側足場が除かれているため、第3号の規定は一側足場には適用されません。

これとは別に、作業のため物体が落下して労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、高さ10cm以上の幅木、メッシュシート若しくは防網又はこれらと同等以上の機能を有する設備(条文上の呼び名は「幅木等」)を設けることとされています(同条同項第6号)。ただし、第3号で設けた設備が幅木等と同等以上の機能を持つ場合や、作業の性質上著しく困難な場合・作業の必要上臨時に取り外す場合で、立入区域を設定したときはこの限りではありません。臨時に取り外したときは、必要がなくなった後に直ちに元に戻すことが求められます(同条第5項)。

どの足場形式を採用しているかによって適用される条文が異なるため、施工計画書では必ず足場の種別を明記したうえで、該当する基準を引用するようにしましょう。実際に計画図へ落とし込む手順は足場計画図の描き方の基本〜その②〜にまとめています。

現場で使う場面

中桟や幅木は、足場点検チェックリストの重要項目になります。

その日の作業を開始する前の点検に加えて、強風・大雨・大雪等の悪天候や中震以上の地震の後、足場の組立て・一部解体・変更の後には、作業を開始する前に点検者を指名して点検させることが求められます(安衛則第567条第1項・第2項)。
点検項目には「足場用墜落防止設備の取り外し及び脱落の有無」「幅木等の取付状態及び取り外しの有無」が明記されており、点検結果と点検者の氏名は、足場を使う作業が終わるまで記録として保存しなければなりません(同条第3項)。

私は施工管理者として、足場の組立てが完了した際の完成チェックを実際に行っていました。
また、足場は組み立てたら終わりではなく、日々のチェックが必要です。クランプの締付けがだんだん緩んでいたり、資材搬入の都合で一時的に幅木を外したまま戻し忘れている事例を見かけたことがあります。
作業性の都合で一部を外す場合は、戻すまでの手順とチェック方法を職長会で共有しておくことが重要です。

おわりに

中桟・下桟・幅木の呼称と、労働安全衛生規則で定められている基準について整理しました。

呼称の揺れはあっても、それぞれが果たす役割(墜落防止と物体落下防止)と、どの足場の種別にどの条文がかかるのかを押さえておけば、書類作成でも現場での点検でも迷いにくくなるかと思います。
施工計画書を書く前に、手元の足場が「枠組足場」なのか「枠組足場以外」なのかを一度整理してみてください。


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