コンクリート工事における供試体による圧縮強度試験。
コンクリートは実際に現場に打ち込まれて強度発現してから出ないと品質の最終確認ができないため、この供試体での圧縮強度試験は非常に重要です。
多くの場合、コンクリート供試体の養生方法は標準養生と呼ばれる方法を取り、試験期間に養生管理含めお任せとなっているのではないでしょうか。
しかし、コンクリートの養生方法には、標準養生法のほかに、現場水中養生・現場封かん養生・解析温度履歴養生などいくつかの養生法があります。
今回は、標準養生の次に現場で採用する養生法として多い現場水中養生についてその特徴と工事現場でのやり方を解説していきます。
標準養生と異なり、供試体の管理も工事現場に求められるので、いざ現場水中養生で管理するとなったときに参考になれば幸いです。
現場水中養生(現水養生)とは
まず、現場水中養生について解説していきます。
現場水中養生とは、コンクリート供試体の養生方法の一つです。養生の規定は文献によっても異なりますので、今回は公共建築工事標準仕様書(標仕)を参考にして紹介していきます。
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)では現場水中養生として、「工事現場における水中養生」として定義されています。
現場水中養生は、その名の通り実際の現場で養生を行うので、外気温の変化に伴って養生している水の温度が変化します。そのためより実際に打ち込まれたコンクリートに近い強度発現状態となることが期待されます。
また、標準仕様書では、型枠脱型用(型枠の取り外し時期の決定)の供試体養生方法としては、現場水中養生のみが定義されていることも特徴です。
ここでは、養生方法によって確認すべき必要な発現強度に違いがあること圧縮強度試験の目的によって養生方法の定義が変わることだけでも覚えておいてください。
コンクリート供試体養生方法の詳細は別記事でもエントリーしてますので、参考にしてください。
現場水中養生をどこで行うか
それでは、現場水中養生について実際のやり方と管理ポイントを紹介していきます。
現場水中養生は、説明した通り、実際の工事現場の外気温にあわせて養生水の温度が前後する養生方法です。ただ、実際にはどこで養生するかは大きく2つの方法を取ることになります。
- 工事現場で水中養生を行う
- 生コン試験所で現場水中養生として行う
もちろん、原則として現場水中養生ですので工事現場で現水養生を行うことが大前提です。
しかし、現場水中養生は管理も煩雑になりますし、工事現場とコンクリート試験所が外気温条件が比較的変わらないことや管理の利便性を考慮して工事監理者と協議の上、コンクリート試験所での屋外における水中養生を現場水中養生として認めてもらうこともあると思います。
特に型枠脱型用は標仕を適用すると現水養生のみが規定された養生方法なので、この判断は現場ではなく工事監理者が行うものです。
工事現場で現水養生を行う時のポイント
現水養生と言っても、実際には工事現場では養生管理していないことがあることは上述した通りです。
したがっていざ工事現場での現水養生を行うように指示されてもどう行えばいいかわからないということも多いでしょう。
現場水中養生は、実際に打ち込まれたコンクリートに近い環境とする養生方法なので、屋外で養生すればよいと言ことになります。
工事現場で養生管理するときのポイントは以下の通りです。
- 供試体が十分につかる容器の用意
- 保管場所は直射日光の当たらない屋外
- 養生期間中の管理
- 圧縮強度試験時の平均外気温確認
供試体が十分につかる程度の水が入る容器を用意
供試体は常に水中にいる必要があります。
供試体は3本程度あることでしょうから、供試体を立てても十分に水につかるサイズのバケツやポリ容器を用意して水を張りましょう。
また、どの部位の供試体かなどわかりやすく管理することも重要です。
打設部位・打設日・養生期間終了予定日・設計基準強度など記載して管理しておくようにしましょう。
屋外の直射日光の当たらない箇所に保管
保管場所は屋外です。
間違ってもクーラーが効くような休憩所などに保管してはいけません。
さらに直射日光は避ける必要があります。屋外に屋根付きの供試体保管所や兼資材置き場などを作成養生しましょう。
養生期間中は管理を行う
養生期間中は水の蒸発などによって、供試体が気中に触れてしまわないように注意しましょう。
必要に応じてポリ容器に蓋をしたり、水を継ぎ足したりします。ただ継ぎ足す水によって養生温度が急激に変化しないようには注意が必要です。
さらに大きな振動を与えることがないようにも注意が必要です。工事現場に置くことになりますので、重機振動が可能性としては考えれれるでしょう。
資材置き場であればそこまで心配しなくてもよいかと思いますが、管理すべきポイントであることは確認が必要です。
強度試験時は養生期間中の平均気温を算定する
標準仕様書では、養生期間中の平均外気温が20度を超えるかどうかで判定する強度に違いがあります。
そこで、圧縮強度の際は、これまでの平均外気温を算定する必要があります。
と言っても、平均外気温なんて温度計を置いたとしても常時監視またはネットワーク制御していないと不可能に近いでしょう。
そこで私が実際に現場水中養生を行った時は、気象庁の平均外気温を参考にしました。
月ごとであれば、平均気温は値が記録されていますが、実際の養生期間(28日間)であれば現地測定してない限り難しいでしょう。
どう管理していくのかも工事監理者としっかり協議していきましょう。
おわりに
現場水中養生を工事現場で実際に行う際の管理方法について解説しました。
現水と言っても実際に工事現場で養生したことは数えるほどしかありません。いざ現場水中養生を求められたという時に参考になれば幸いです。
コンクリート工事は、材料が納品時には生ものであることから強度担保のために多くの規定が存在します。コンクリートの設計基準強度、種類、どの文献を適用するのかなど多くの管理方法の分岐点があるので、少しづつ覚えていきましょう。
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