建設工事で、各工事現場に監理技術者の配置が義務付けれらるとこがあります。
今回は、「監理技術者とは」、「監理技術者の配置が必要な工事」、「監理技術者講習とは」、「監理技術者登録までの流れ」を解説していきます。
監理技術者とは
監理技術者とは、建築・土木に限らず建設業の工事現場において施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び工事の施工に従事する者の指導・監督を行う技術者のことです。
監理技術者は、その証明として監理技術者証の交付を受けることが必要で、また交付を受けるためには他の資格や実務経験が求められ、さらに監理技術者講習を受講することが必要になります。
監理技術者の職務は建設業法にて記載されています。監理技術者の職務まっとうは法例遵守の観点からも必要になります。
建設業法に記載されている監理技術者の職務は以下のようになっています。
(主任技術者及び監理技術者の職務等)
引用元:建設業法
第二十六条の四 主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。
2 工事現場における建設工事の施工に従事する者は、主任技術者又は監理技術者がその職務として行う指導に従わなければならない。
主任技術者についても明言されていますが、今回は監理技術者に限った説明をしていきます。
監理技術者の設置が必要な工事とは
監理技術者の配置が必要な工事についても建設業法に記載されています。
条文なので、あっちこっちに飛んでわかりにくいですが、まずは監理技術者の配置の配置に関する法律を以下に列記します。
第26条2項
引用元:建設業法
発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者(当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない。
第26条3項
公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、前二項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。
ただし、監理技術者にあつては、発注者から直接当該建設工事を請け負つた特定建設業者が、当該監理技術者の行うべき第二十六条の四第一項に規定する職務を補佐する者として、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者に準ずる者として政令で定める者を当該工事現場に専任で置くときは、この限りでない。
ここでわかるのは、「発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者」つまり元請けは、その請負金額が一定以上の場合、監理技術者を配置しなければならないということです。
また、3項で「公共性のある施設、多数の者が利用する施設」の場合は、配置する監理技術者は専任でなければならないと記載されています。
一定以上の請負金額がいくらになるかというものは法第3条による記載されており、法第3条はつまり、特定建設業の許可が必要な会社の額となります。
工事が特定建設業となる条件は、元請がさらに建設工事を遂行するために、さらに各専門工事会社と下請契約を結びその合計金額が4000万円以上(建築一式工事の場合は6000万円以上)となる場合です。
下請金額の4000万円(建築一式の場合6000万円)という額は条文では政令で定める金額と記載されており、その具体的なものは建設業法施行令にて記載されています。
(法第三条第一項第二号の金額)
引用元:建設業法施行令
第二条 法第三条第一項第二号の政令で定める金額は、四千万円とする。ただし、同項の許可を受けようとする建設業が建築工事業である場合においては、六千万円とする。
建築工事で6000万円以上の下請契約となるとその建物は多数の者が使用する施設になることはほとんどでしょう。
つまり、個人住宅などを除くほとんどの建設工事では監理技術者の配置が必要ということになります。
特に公共工事ではその影響は顕著で監理技術者を一度配置した後、退社・病欠など特定の理由でないと変更することが困難であり、工事ごとに全国の勤務地を転々としている監理技術者も少なくはありません。
監理技術者講習とは
次に監理技術者講習について説明します。
監理技術者講習はその名の通り、監理技術者として登録するために必要な講習のことです。
監理技術者証を交付するためには前提条件として、一級建築士や一級施工管理技士といった技術力を証明する資格の保有または実務経験年数といった資格が必要になります。
その上で、監理技術者講習を受講する必要もあります。
監理技術者講習と監理技術者登録までの流れ
監理技術者証の交付は、一般社団法人建設業技術者センターが行っていますが、監理技術者講習の実施は、別の登録実施機関が行っています。
監理技術者証の交付と監理技術者講習は別機関ですので、それぞれで申し込みが必要であることに注意が必要です。
監理技術者講習を実施する機関は、国土交通省のHP(リンクはこちら)で確認でき、建設業に関する団体や一級建築士などの資格学校が担っています。
監理技術者講習の受講から監理技術者証登録までは以下の流れで行います。
まずは、監理技術者講習を任意の機関で受講して、その修了証を受けます。その後、監理技術者としての登録を行います。
以前は、監理技術者講習修了証と監理技術者証が別のもの証書(資格カード)となっていましたが、現在では、監理技術者証の裏面にシールタイプの監理技術者講習修了証を張り付けることで一体化されるようになりました。
ただし、登録は依然として別機関になってますので、監理技術者講習だけでは監理技術者と離れないことを十分に理解しておく必要があります。
おわりに
監理技術者および監理技術者講習について解説しました。
監理技術者は建設工事において配置が必要な技術者であると同時にその証明のための資格であることを指しています。
現場監督においては、監理技術者、一級施工管理技士、一級建築士が必須級といえる資格にいなります。
まずは、一級施工管理技士、一級建築士といった技術を証明する資格を取得して監理技術者登録を行いましょう。
コメント