擁壁とは、高低差のある地盤の側面を支え、土が崩れ落ちるのを防ぐために設ける壁状の構造物のことです。
建築現場では敷地造成や外構工事で頻繁に登場し、背面の土圧を受け止める役割を担います。
代表的な鉄筋コンクリート(RC)擁壁には、自重で土圧に抵抗する重力式、やや背面側に傾けて自重を効かせるもたれ式、底版に載る土の重さを利用する片持ち梁式(断面形状からL型・逆T型と呼ばれます)があります。
高さや背面の状況に応じて形式を選びますが、形式が決まれば終わりではありません。安定計算で安全性を確認していくことになります。
安定計算では、転倒・滑動・地盤支持力の3つを安全性確認ポイントがあります。
転倒は擁壁が前のめりに倒れないか、滑動は底版が前方へ滑り出さないか、地盤支持力は底版下の地盤が荷重に耐えられるかを確認します。
必要な安全率や許容支持力度は条件によって変わるので、数値は設計時に基準と地盤調査の結果をもとに確認してください。
使われる場面
宅地の造成では、切土や盛土でできた高低差の処理に擁壁が用いられます。一定規模を超える造成では宅地造成及び特定盛土等規制法(旧・宅地造成等規制法)の許可対象となり、構造や安全性の審査を受けます。いわゆるがけ条例の適用範囲では、がけの高さに応じて擁壁の設置が求められることもあります。外構工事の段階で計画する場合でも、背面排水や水抜き穴の配置を含めて、土圧と地盤の条件を踏まえて検討しておきたいところです。
関連語
- 山留め:根切りの際に周囲の地盤崩壊を防ぐ仮設の壁。恒久構造物である擁壁とは目的が異なります。
- 根切り:基礎や底版を施工するために地盤を掘削する作業。擁壁の底版もこの掘削面の上に築きます。
- 支持層:擁壁の荷重を最終的に受け止める地盤。地盤支持力の照査では、この層の許容支持力度が判断材料になります。

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