先日、溶接管理技術者(WES)1級の再認証審査を受けてきました。
資格にもさまざまありますが、建築に関するもので、各協会が主催するものは3~5年程度で更新が必要になることが多いです。
溶接管理技術者の資格も更新が必要で、溶接管理技術者の資格は更新講習ではなく、再認証審査と称されています。
更新講習と聞くたびに、もしかして不合格になりはく奪されることもある?再勉強してから望んだ方がいいのかな?と不安になることはないでしょうか。
今回は、溶接管理技術者再認証審査について、私が受講した感想をもとに、事前勉強が必要か、どういった内容の審査が行われるのかについて解説していきます。
溶接管理技術者1級の再認証審査は無勉強で対応できるか
再認証審査。
更新講習より、少し硬めの名前で名前だけでも「もしかしてこれ再認証で不合格なんてあるの?」と心配になってしますよね。
僕は今年が資格取得から5年経過して1回目の再認証でしたので、不安でいっぱいでした。
今回、僕はWES1級の再認証審査ですので、1級(および2級)に対する回答になりますが、
再認証審査を受ける際は、ズバリ無勉強で問題ありません(条件付き)!!!
条件付きってなんだよ。と感じたかもしれませんが、基本的には無勉強で臨んでも試験不合格になるようなことはないと思います。
まだ、再認証審査受けただけで合格通知届いてませんので「思います」という言葉にしておきます。
ここで、条件付きと書いたのは、実務からも離れていて溶接に関する用語などを完全に忘れてしまっているような場合るは、基本用語の再確認はしておいた方がいいかなと思います。
ただ、溶接管理技術者資格取得の時も苦労した通り、参考書は非常に分厚く文字もびっしりでどこを再確認していいかわかりませんよね。
基本的には、実務で多少なりとも溶接用語を聞く環境にある場合は、基本用語の知識ありと判断していいと思います。
たとえば、アーク溶接、TMCP鋼と聞いて「何それ?」と言葉自体がわからんとなっているほど忘れてしまっている人は注意が必要かなと思います。
ちなみに言葉だけ聞いて溶接関連だとわかる程度でいいです。アーク溶接とはどんな溶接か説明しろとかまでの知識は必要ありません。
説明はできないけどそういう用語があることは知ってるよという程度の知識であれば無勉強で臨んでも問題ないでしょう。
再認証審査の講習、試験の流れ
無勉強で臨んでいいことが分かった次は、再認証審査当日の流れについて説明しておきます。
今回、私は会場での対面講義を選びました。
オンライン審査を申し込んだ人は少し流れが違うかもしれませんが、審査の環境で合格不合格に差があってはいけないかと思いますので、大差はないと思います。
実務経験記述
まず再認証審査ですが、
再認証審査の申込み用紙にで過去3か年の実務経験を記載して、上長のサインをもらうことが必要です。
この時点で、再認証審査は始まっていると言えます。
実務経験の記入は、私自身がゼネコンの内勤技術職ということで、直接現場管理しているわけでも工場検査など行ってるわけでもないので、記入方法には苦労しました。
施工管理職だと3年くらいであったら、RC造の現場ばかりでまともに鉄骨見てないという方もいるかもしれません。
私が無事、再認証審査を受けることができたので、書類審査はパスできたと考えています。
実際に合格通知が届いたら、実務経験記述のサンプルも紹介していこうと思います。
オリエンテーション演習
ここからは、再認証審査当日の流れについて説明していきます。
再認証審査当日は、オリエンテーション講習と試験演習講習、そして再認証試験が実施されます。
各演習の名称は講義の中で講師の方がそのように言っていたかなと記憶している程度ですので、少し違うかもしれません。ご了承ください。
まず、講義当日に資料として以下の三冊が配付されます。
- 溶接管理技術者再認証資料 溶接管理技術の進歩
- 溶接管理技術者再認証審査 参考資料(別冊)
- 溶接管理技術者再認証 演習問題集<2級・1級>
オリエンテーション演習では、1番目の「溶接管理技術の進歩」のテキストをメインに、補助的に別冊の参考資料が使われます。
ここでは、試験を取得してから5か年経過しているので、
新規格化また更新された規格・基準の説明や実験などで明らかになった新たな知見、新技術の紹介などテキストを使いながら講師が説明していきます。
溶接管理技術者は建設の分野だけでないことは、すでに資格を取得する皆さんはご存じかと思います。
建築に限らず、橋梁、自動車、船、タンクといった溶接に関する全般の知識が対象範囲になってますので、正直、実務で経験しない項目についてはチンプンカンプンな部分もありました。
なんかそんなもの勉強したなぁ程度で聞いていることも多かったです。
私に限らず、建築の施工管理職である場合、鉄骨工場で直接溶接工事を管理しているわけじゃないので、ほとんどの知識は頭からすっぽり吹き飛んでしまっているかもしれません。
基本的には、持続的に学習することが再認証審査の意義かとも思いますので、情報のアップデートまたは、少し思い出す程度でしっかり聞いておけばいいかと思います。
このオリエンテーション演習は、途中小休憩・昼休憩をはさみ、9:30~14:30まで行われました。
試験演習講習
試験演習講習は、この後再認証試験を受けるわけですが、その内容に直接影響してきます。
試験演習では、配付テキストのうち、演習問題集を用いて、講師が特に押さえてほしい問題とその解説を行います。
何を言ってるのかピンと来ましたでしょうか。
つまり、直接的な試験問題を解説してくれるわけではありませんが、講師が解説を行った問題から試験が出題されることを暗に示してくれてます。
試験には、配付テキストのうち演習問題集以外のテキストは持ち込み可能です。
特に、問題の解説は別冊の参考資料を基に解説がなされます。
別冊の参考資料は、溶接管理の知識に必要な情報が網羅的に記載されています。
冒頭でも紹介したアーク溶接とは、TMCPとはという用語説明内容も記載されていますので、この別冊資料と講師の解説を参考にすれば、試験問題に回答することは可能です。
再認証審査に合格することが目的であれば、特に重要ですので、居眠りなどせず、しっかり聞き、メモをしておきましょう。
ちなみに、特別級の場合は、筆記試験ではなく、小論文での審査となりますので、この試験演習講習の段階から別室に移動して小論文作成に取り掛かっているようでした。
また、2級については会場が別でしたので定かではありません。
演習問題集は前半が2級に対応した問題、後半が1級に対応した問題となっていましたので、同じような解説が実施されているものと思います。
再認証試験
再認証試験の時間は1時間です。
試験は講義の中で講師から解説があった演習問題から抜き出しで4問出題されます。
なお、2級は選択式の問題ですので、実際に問題を見ていないのでわかりませんが、問題数はもっと多いかと思いかと思います。
再認証試験の問題の内容については、この次の章で説明していきます(問題の直接の解説はしません)。
先ほども述べたように配付されるテキストのうち、問題集を除く2冊、そして自分でメモしたノートが試験持ち込み可能です。
事前に問題もある程度確認できますし、補助資料に半分答えが書いてあるようなものです。
また、時間も1時間は十分にあります。
落ちついて試験に臨むようにしましょう。
再認証審査の試験の内容
再認証試験についてもう少し詳しく説明していきます。
試験に出題される問題以外にも講師が押さえてほしい問題として解説する問題は、溶接管理技術者の基本的な問題であることがほとんどと感じました。
また、出題形式は、WES試験の時と同様で1枚の用紙に問題があって記述式で回答していきます。
今回出題された問題ではありませんが、問題のイメージとしては以下のような感じです。
問題
アーク溶接用直流電源に用いるインバータ制御の長所をサイリスタ制御と比べて2つあげ、その理由を説明せよ。
回答
長所1:
その理由:
長所2:
その理由:
記述問題ですので、そのほかに図表を用いた問題なども出題がありました。
繰り返しになりますが、難易度としてはWES試験の基本問題と同程度です。
実務で現場溶接での施工管理ばかりで溶接管理にほとんど携わっていない、私のようなものからするとしっかりと学習しておかないと解くこと難しそうです。
ただ、そこはご安心ください。
持ち込み可能な別冊の参考資料には試験問題に直接関係がある内容が網羅的にまとめられています。
今回の場合でいうと参考資料の中でインバータ制御の特徴が一覧となった表などが掲載されているので、そういった資料を参考に回答していくことが可能です。
事前に、講師から出題される問題は、確認してほしい問題として解説がなされているので、どこに書いてあるかを把握して問題に取り組みます。
ただ、注意してほしいポイントもあります。
ここを見落としてしまうと、テキスト持込の再認証試験でも、求められてる回答と別の回答になってしまう可能性も十分にあります。
参考資料の中には確かに問題に対する回答が記載されているのですが、
テキストの丸写しでは、回答にならない可能性も十分にあります。
先ほどの問題を例にとると、
インバータ制御の特徴は表として、確かに掲載されていると思いますが、表では簡単な言葉で特徴がまとめられていますので、文章として成立していません。
今回は、出題と違う問題ですので、インバータ制御の特徴について実際にどう記載されているか確認しておりませんが、
例えば、テキストには「○○に優れている」と記載があったとしましょう。
ただ、試験の回答で求められている答えは、「△△により□□であるため、○○に優れている。」といった文章での回答です。
丸写しのままでは、特徴としてはその通りなのだけど、なぜそうなのかが説明されていないと判断されて減点されてしまうでしょう。
もちろん△△や□□に対応する内容も本文中に説明があったり、添付されてグラフ・図などから判別できるものではあります。
また、事前の解説で講師が回答例を口頭で伝えてくれているかもしれません。
記述式の回答のつけ方を理解して、より明確に具体的に回答するようにしましょう。
もし、間違った記述が一部にあったとしても減点されるだけです。
知ってることをたくさん書いておくというのも記述式の試験の対策になりますので、参考にしてください。
再認証審査の合格まで
再認証審査当日の講義から試験までが無事終了しました。
再認証審査は試験6割で合格と言われています。実際には実務経験の審査も多少なりともあるはずですし、確実に6割とまでは言い切れません。
再認証審査が終われば、あとは合格通知の発送を待つだけです。
基本的にすることはなく12月ごろの合格通知を待ちましょう。
おわりに
溶接管理技術者1級(WES1級)の再認証審査について、僕の実体験を踏まえ紹介していきました。ポイントは以下の通りです。
- 再認証審査に向けての事前勉強は基本的に必要ない。
- 出題範囲とその問題解説は講師が事前に説明してくれる。
- 講習会で使用する補助テキストを持込可能でコメント文を手書きしていてもよい。
- 補助テキストは箇条書き、図表でまとめられているので丸写しではなく、作文は必要。
- 試験は6割以上で合格と言われている。講習をしっかりと聞いておけばまず大丈夫。
溶接管理技術者再認証審査、出題範囲は講師が説明してくれます。
ただ、試験問題としては、WES試験の基礎問題程度の難易度です。資料の持込なしでは、無勉強での回答は難しいのではないかと思える内容です。
気を抜いて講義中に居眠りなんかすると、万が一不合格にもなりえるかもしれません。
ほとんどの方は、業務時間の中で再認証審査に臨んでいると思います。仕事の一環としてしっかり受講するように心がけましょう。
コメント